Mastercardが「VISAを上回っている」と評価される理由

» 2024年11月20日 07時00分 公開
[Lynne MarekPayments Dive]
Payments Dive

 米Mastercardは、従来のカードネットワーク提供を補完する周辺サービス、特にサイバーセキュリティやデータ関連サービスの販売で、収益を拡大している。

米Visaを上回っていると評価──なぜ?

 同社が先週発表した最新の第3四半期決算では、付加価値サービス(VAS)の収益が前年同期比で18%増の27億4000万ドルに達し、全体収益の13%増(73億7000万ドル)を上回る伸び率となった。これらの数字は投資家向けプレゼンテーションで報告された。

 過去7年間、Mastercardは特に加盟店向けに、デジタル取引の保護や増加する顧客データの活用支援に特化した補完的なサービスの提供に注力してきたと、同社CEOのマイケル・ミーバック氏は述べている。

 「全体として、これが他社との差別化要因になっていると考えている」とミーバック氏は決算説明会のWebキャストでVASについて述べた。「当社は長年にわたり力強い成長を遂げており、今四半期も好調だ。これが収益と利益率を押し上げている」

 ニューヨーク州パーチェスに本社を置くMastercardは、第3四半期の純利益を前年同期比2%増の33億ドル、収益を13%増の74億ドルと報告している。

photo (提供:ゲッティイメージズ)

 金融会社ウィリアム・ブレアのアナリストは、Mastercardが周辺サービスの販売を通じた収益拡大において、より規模の大きいライバルの米Visaを上回っていると評価している。両社が四半期決算を発表した後、アナリストは「Mastercardの市場評価額が収益に対して高いのは、優れたVASによって収益を拡大していることが要因の一つだ」と指摘した。

 「MastercardのVASポートフォリオは、持続的で平均を上回る有機的な収益成長の鍵を握っている」とアナリストたちはレポートで述べている。「Visaに比べてMastercardのVASは定量的にも定性的にも優位性があると見ている」

 アナリストによると、Mastercardの周辺サービスの半数以上が、サイバーセキュリティ、詐欺防止、リスク対策ツールの提供に関連している。一方で、VisaのVASは追加処理や顧客転換サービスに重点を置いている。

 両社は最近、買収を通じてサイバーセキュリティサービスの強化を図っている。Mastercardは9月にRecorded Futureを26億5000万ドルで買収し、VisaはFeaturespaceを約10億ドルで買収したと報じられている。

 ウィリアム・ブレアは、両カードネットワーク株を顧客に推奨しつつも、Mastercardをより高く評価している。その理由の一部は、MastercardのVASがもたらす競争優位性にある。「両社とも優れたサービスを提供しているが、MastercardのVASが一部の市場シェア拡大を促進しており、これが競争力を高めている」とアナリストたちは述べている。

 一方、Visaは10月29日に発表した第4四半期決算で、純利益が前年同期比14%増の53億ドル、収益が12%増の96億ドルに達したと報告した。また、通年では純利益が14%増の197億ドル、収益が10%増の359億ドルとなった。

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