一番人気の「かつ重」は300円未満! スーパー・トライアルが物価高時代に「安さ」で勝負できるワケ(1/4 ページ)

» 2024年11月22日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

 九州地盤のディスカウントストア「トライアル」が勢力を伸ばしている。1992年に1号店をオープンし、2000年以降に出店を加速。2023年末時点で311店舗を展開する。

 一方、主な立地は郊外であるため、都市部在住の読者諸氏は見たことがないかもしれない。今回、筆者は千葉県八千代市の「メガセンタートライアル 八千代店」を訪問し、消費者が支持する要因である精肉・総菜・PB商品の安さとともに、従来のGMS(総合スーパー)にはないレジャー性などを取材した。

郊外を中心に、消費者の支持を集めるディスカウントストア・トライアル(出所:トライアルホールディングスのプレスリリース)

4つの業態を展開 デジタル施策にも積極的

 トライアルはリサイクルショップとして1974年に福岡市で開業した「あさひ屋」をルーツに持つ。その後、1984年にトライアルカンパニーへ商号を変更し、POSシステムの開発などIT事業がメインの企業として成長してきた。同年には、家電量販店もオープンしている(現在は閉店)。

 ディスカウントストアとしてトライアルの1号店をオープンしたのは1992年。日本の小売りを支えていたGMSが1990年代後半から衰退し始めたことを受け、トライアルは2000年代にGMSの居抜き物件へ出店する形で全国展開を強化している。今回の八千代店も、もともとはユニーが運営しているモール型のショッピングセンター「アピタ」の建物である。

「アピタ」跡地を利用した、メガセンタートライアル 八千代店

 トライアル出店後もIT事業には力を入れており、2003年に中国でソフトウェア開発拠点を設立。2018年には決済タブレット付き決済カート「Skip Cart」や店内のAIカメラを開発するRetail AI社を設立している。

トライアルの「Skip Cart」。利用者がカートに付属するスキャナーで商品バーコードを読み取り、専用ゲートを通過するだけで会計が完了する(出所:トライアルホールディングスプレスリリース)
Retail AIが開発した小売りに特化したカメラ「リテールAIカメラ」。同社によると、世界初だという(同前)
人物カウントや商品認識が可能で、サイネージと連動し、利用者の購買行動に合わせた情報を提供するという(同前)

 前述の通り、トライアルは現在300店舗超を展開している。地域別では九州が最も多く、関東は57店舗。店舗は主に下記の4業態に分かれる。

トライアルの業態区分。大きく4つに分かれる(出所:筆者作成)

 参考までに、一般的な食品スーパーの売場面積は1400平方メートル前後とされ、トライアルの業態区分では「smart」が該当する。今回の八千代店はメガセンターに該当し、衣食住のほか、キャンプ用品や玩具なども販売し、商品構成はGMSに近いといえる。なお主力とするスーパーセンターは食品を中心に「衣」「住」も扱っている。

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