トライアルホールディングス(HD)では、徹底したコスト削減によって低価格を実現している。消費者から見えるところでは、クレジットカードやQRコード決済への「非対応」が代表的であろう。
トライアルでは基本的に現金、またはプリペイドカードにしか対応していない。小売店側が決済業者に払う手数料はクレジットカードで3%前後、QRコード決済で2%前後である。営業利益2%台のスーパー業界にとって、こうした手数料は値下げの足かせになる。
IT施策もトライアルHDの強みだ。店内に設置するAIカメラは在庫状況をチェックし、欠品率の低減や行動パターンの分析に役立っている。また、半数以上の店舗に導入済みのSkip Cartも有名だ。
レジを通らずに決済できるタブレット端末付きのカートで、利用者はプリペイドカードをスキャンして買い物を始める。商品をカートに入れるたびにバーコードリーダーで読み込んで、専用ゲートを通れば商品分の金額がカードから自動で落とされる仕組みだ。Skip Cartは人件費の3割を占めるレジ要員の削減に貢献している。
これらの他、組織面では食品製造以外に物流や建設部門まで「自前化」し、中間業者を省いている。
八千代店に話を戻すと、2階は食品以外を陳列している。かつてのダイエーやイトーヨーカドーのように、非食品も扱うスーパーは1階に食品を置き、2階以上に衣料品を並べるのが一般的だ。一方、八千代店ではアパレルを主としておらず、キャンプ用品やキャリーバッグ、玩具や家電と幅広いジャンルの商品を取り扱う。
そもそもトライアル全体の売り上げにおいて、アパレルは3%に過ぎない。メインは7割超を占める食品で、非食品の中でもアパレルの構成比はかなり小さいのである。ダイエーやイトーヨーカドーなどのGMSは「ユニクロ」「しまむら」「AOKI」などの専門店ブランドの台頭により、売上構成比の大きい衣料品が売れなくなって衰退したという経緯を持つ。そのため、こうした売上構成はトライアルの強みといえるかもしれない。
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