さて、セブンの松竹梅対応に話を戻すと、セブンでは下記のようにアイテム構成を変えています
セブンは弁当の品ぞろえ比率について「松:竹:梅=1:2:1」を目指しています。現状、売り場を見た限りでは「3:5:2」といったところでしょうか。まだ高めの弁当が多い印象です。
「松」に相当する高価格帯商品はセブンの強みだったところです。そのため、すぐにはアイテムを減らせないでしょうし、単価アップのためにも必要な商品といえます。従って、新商品の投入も継続して必要です。
一方で「梅」が増えたことは、女性客を増やすきっかけになるのではないかと筆者は考えています。低価格弁当は小さなサイズもあり、量も少ないためそこまで食事に量を求めない層にウケるはずです。小さいことから持ち運びにも便利で、朝買って会社に持っていく際にサブバッグに入れても邪魔になりません。タイムパフォーマンスとコストパフォーマンスに優れ、“スペースパフォーマンス”も良いのですから、学生や女性客、500円以下でランチを済ませたい若手サラリーマンなどに広く支持されていくのではないでしょうか。
世の中のあらゆるものの価格が上がり、生活コストが上昇し続けています。モノの値段が上がれば、支出を抑えたくなるのは当然の流れです。特に、毎日消費する食品への支出は抑えたくなるものです。そうなると、値下げや低価格メニュー開発、低価格業態が今後はますます増えてくるでしょう。
コンビニ業界でいえば、ドラッグストアの食品強化やスーパーの総菜強化、飲食店の出店増や新業態開発などと戦わなくてはなりません。M&Aなどの大きな動きにも対峙しつつ、目の前のお客さまにどのように対応していくか。今のような激動の時代こそ、セブンの真価が問われます。セブンの経営の原点であり、真骨頂である「変化への対応力」に引き続き注目していきたいと思います。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
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