近年、フリーランス人口が増加したことなどを受け、企業の取引先が多様になり、経理部門の業務が複雑化している。そのような中、3社に1社が「支払遅延」を経験していることが、フィンテックサービスを提供するインフキュリオン(東京都千代田区)による調査で明らかになった。なぜ支払遅延が起きてしまうのか。
受け取る請求書の形態について「紙のみ」とした事業者は15%、「紙が多いが、電子データもある」とした事業者は45%となり、合わせて61%が「紙の請求書を受け取ることが多い」とした。発行する請求書については、「紙のみ」は29%、「紙が多いが、電子データもある」は25%だった。
特に、小規模事業者のデジタル化の遅れが目立ち、従業員規模が1〜20人の事業者は、52%が「紙のみ」と回答した。一方で、取引先から受け取る請求書に「一部でも電子データの取り扱いがある」とする事業者は、合わせて77%に上った。法改正などをきっかけに事業者のデジタル化は着実に進んでいると見られる。
「過去1年間に支払いが遅れたことがある」という回答は36%に上り、約3社に1社が支払遅延の経験があると分かった。特に、従業員規模301〜1000人の中規模事業者はその傾向が強く、51%が支払遅延の経験があった。
支払遅延の要因として多い「期日管理のミス」は、従業員規模1001人以上の事業者において特に顕著で、68%を占めた。
その他「振込操作のミス」「金融機関側の事情」が上位となった。また、個人事業主・従業員規模が100人未満の小規模事業者では、「資金不足」の割合が高くなる傾向も見られ、回答率は3割に上った。
「クラウド型の会計ソフト」を利用している事業者は39%だった。従業員規模1001人以上の事業者では、50%がクラウド型会計ソフトを利用していると回答した一方で、個人事業主ではわずか17%にとどまった。従業員規模が大きい事業者ほど経理業務で用いるメインのツールにクラウド型会計ソフトを利用していることが分かった。
業務の効率化や人的ミスをデジタル技術で低減する環境整備は、従業員規模が大きい事業者を中心に進み始めていると考えられる。
調査は10月4〜8日にインターネットで実施。経理部門に所属または取引先への請求業務、支払い業務の内容を把握している人を対象とした。回答数は1236人。
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