米国企業によるデジタルウォレット採用の増加に関する研究を基に、米Global Paymentsが発表した報告書によれば、2023年には、連邦準備制度(FRB)の調査に回答した人々の62%がデジタルウォレットを利用していると答えた。この割合は2022年の47%から増加している。
同じくFRBの報告では、大企業のうちデジタルウォレットの利用が増加していると報告した企業の割合が、2022年の48%から2023年には64%へと上昇している。
加えて、デジタルウォレットの採用だけでなく、統合型コマースプラットフォーム(Unified Commerce Platforms)を導入している業界についても報告されている。
小売業界では、全体の43%と他の業界よりも導入率が低いものの、そのうち73%が5年以上にわたりこの技術を使用している。一方、中小企業の67%および中規模市場企業の71%が、大企業よりも積極的に統合型コマースプラットフォームに投資する可能性が高いとされる。レストラン、ホスピタリティ、レジャー業界では、このプラットフォームにより多くのリソースを投入する傾向がある。
Global Paymentsは、企業が販売時点管理(POS)システムを顧客との接点の一つとして活用することをさらに重視するようになると予測している。例えば、POSシステムを使用して顧客をロイヤリティープログラムに登録し、顧客データをメールでのマーケティング活動に活用することが可能だと指摘している。
さらに、企業が注目している機能として、複数の決済プロバイダーを通じて決済をルート設定・処理する「決済オーケストレーション」が挙げられる。約4分の3(76%)の回答者が、この技術を5年以上使用していると答えている。
しかし、回答者のほぼ3分の2が新たな投資を行わないと答える一方で、35%がこの技術にさらなるリソースを投入する計画を持っている。決済オーケストレーションの主な利点として、不正防止機能の向上(89%)、運用効率の向上(84%)、顧客体験の向上(83%)、顧客ロイヤリティーおよびエンゲージメントの向上(82%)が挙げられている。
また、埋め込み型決済の導入状況についての分析から、小売業界の回答者のほぼ4分の3(74%)が長期的な利用者であると示された。自動車産業、ホスピタリティ、レストラン業界でもこの技術を活用する動きが見られる。
埋め込み型金融の市場は今後数年間で成長が見込まれており、企業はこの分野への投資を拡大している。ジュニパーリサーチによれば、世界の埋め込み型金融市場は今年の920億ドルから、2028年までに2280億ドルに達すると予測されている。
Global PaymentsのCEOであるキャメロン・ブレディ氏は次のように述べている。
「経済をけん引する企業は、顧客とのつながりを深め、より良いサービスを提供するために技術の活用方法を変革しつつあります。決済技術はますますビジネス運営の中心となっており、これをマスターすることが、全ての規模の企業にとって成功の鍵となります。当社の2025年版レポートでは、AIやバイオメトリクスの変革力からソーシャルコマースの技術的要件に至るまで、あらゆる側面を評価しています」
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