スピンアウトの雑誌は、もう1つある。飛行機のダイヤに特化した時刻表(月刊)を刊行したのだ。『国内航空ダイヤ』と『国際航空ダイヤ』の価格は605円、『国内・国際航空ダイヤ』は990円
ページをめくると、飛行機の時刻表だけでなく、さまざまな情報が載っている。例えば、『国内航空ダイヤ』には空港と各地を結ぶバスやタクシーの情報、航空各社の運賃(通常期・多客期それぞれの目安)などを掲載。
『国際航空ダイヤ』では、航空会社コード(2レター)と都市空港コード(3レター)を掲載しているほか、ダイヤは時差(サマータイムを含む)やコードシェア、経由地(経由便の場合)にも対応した。
それにしても、なぜこのタイミングで紙の雑誌なのか。実は、かつてJTBのグループ会社が『JTB国際線時刻表』を発行していて、ページの編集作業はJTBパブリッシングが手掛けていた。ただ、こちらもスマホの影響などを受け、2021年3月号で休刊した。
このような背景があると、ますます「紙の時代ではないよね。なぜ復活させたの?」と思ってしまうわけだが、大きなきっかけのひとつに航空会社の撤退がある。以前、多くの航空会社は冊子の時刻表を無料で配っていたが、現在は発行していない。「であれば、紙の時刻表を復活させてもいいのでは」(梶原編集長)と考え、月刊誌として再登板させたのだ。
鉄道の千葉県版と違って、こちらはECサイトでの販売のみ。つまり、返本のリスクはゼロ。また、鉄道の時刻表に掲載されている情報を、いわば「抜粋」した形になるので、編集コストも最小限に抑えた。目標部数は、赤字にならないこと。「とりあえず、損益分岐点を超えるまで売っていこう!」というミニマムな方針を掲げたところ、結果はどうだったのか。赤字を出さないために必要な部数の200倍も売れたのだ。ちなみに、Amazonの書籍「売れ筋ランキング」で、10位にランクイン(10月23日時点)した。
考えてみると、かつて旅行代理店で海外旅行のチケットを申し込むと、窓口の担当者は紙の時刻表をペラペラめくっていた。また、旅行者は無料の冊子で出発時刻などを確認していた。
いずれも、なくなってしまったわけだが、一覧性などを考えると、スマホよりも紙に優位性がある。もちろん、会社の屋台骨を支えるような売り上げを残すことは難しいだろうが、今回の取り組みは「企画次第でコストを抑えれば、少ない部数でもなんとかやっていける」ことを証明したことになる。
なぜ時刻表に“謎ダイヤ”が存在するのか
なぜ地図で「浅草寺」を真ん中にしてはいけないのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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