「無料」を打ち出す企業も! 「進化系コインランドリー」が続々登場 洗濯のエンタメ化が進む背景(1/5 ページ)

» 2024年12月23日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。


 最近、おしゃれなコインランドリーが増え、一部では「進化系コインランドリー」とも呼ばれています。カフェ併設、美容院・飲食店との複合型コインランドリーなど、業態も様変わりしています。

 その一方でクリーニング店は、ここ10年で1万店以上減少(機械設備のある一般施設)しており、コロナ禍を経て洗濯市場は激変しているようです。コインランドリー市場が拡大し、クリーニング市場が縮小する背景には何があるのでしょうか。流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸がマーケティングの視点から分析していきます。

進化系コインランドリーが増えている(出所:ゲッティイメージズ)

まるでカフェのようなコインランドリー 洗濯以外のニーズも確保

 東京の代々木上原・富ヶ谷・東北沢エリアは進化系コインランドリーのメッカです。関連サービスを複合して展開するものを多く目にします。

 進化系コインランドリーとして有名なのが「Baluko Laundry Place(バルコ ランドリー プレイス)」です。OKULAB(東京都渋谷区)が展開し、2017年に1号店をオープン。代々木上原店はテラス席を備えた真っ白でスタイリッシュな外観となっており、カフェのようなたたずまいです。

Baluko Laundry Place代々木上原の外観。筆者が撮影

 代々木上原店の店内にはイートインスペースがあり、カフェコーナーではトーストベーグルやドーナツを対面販売しています。また「バルコブックス」と題した書籍のコーナーもあります。利用者がリクエストした本・絵本を置き、定期的に中身が変わります。

コインランドリーなのに、本や絵本も置いている(同前)

 「待ち時間にどのようなサービスを提供できるか」「コインランドリーで何を提供すればお客さんが洗濯時間を楽しめるか」を考えて、こうしたサービスを導入しているようです。筆者が視察した日には、洗濯物の仕上がりを待つ間、お茶をしながらおしゃべりをするママ友らしき方々がいたり、若い男性客が1人で来店し、洗濯をしながらコーヒーを飲んでいたり、あるいはお茶だけしに来店する近所の方がいたりなど。実にさまざまな客層が来店していました。

 ちなみに同店はコインランドリーだけでなく、通常のクリーニングサービスも提供しています。洗濯代行も依頼できることから、日ごろの洗濯が面倒な人にとってはかなり重宝しそうなビジネスモデルです。

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