新作アニメの「成功パターン」は? 『ダンダダン』や『アオのハコ』などの注目度から分析2024年夏・秋アニメが対象

» 2024年12月30日 09時30分 公開
[ITmedia]

 カードゲームやゲームソフトの開発などを手掛けるブシロードの分析組織である、アニメデータインサイトラボは、2024年の夏アニメと秋アニメの注目度を比較・分析し、新作アニメの成功パターンやプロモーションの効果分析を発表した。

2024年の夏アニメと秋アニメの注目度を比較・分析したところ……(画像:ゲッティイメージズより)

 Google トレンドによる検索量データ(週次)を基に、夏・秋に放送されたアニメの中でも特に注目度が高かった『ダンダダン』を100として、その他の作品を数値化した。

 夏アニメの初回放送で高い注目度を獲得したのは『しかのこのこのここしたんたん』(79.79)と『逃げ上手の若君』(75.53)の2作品だった。平均の7.5倍以上の注目度を獲得しており、放送前から高い期待を集めていたことがうかがえる。

 アニメデータインサイトラボは「特に『しかのこのこのここしたんたん』は音楽を中心としたSNS戦略が高い注目度獲得に貢献したと考えられる」とコメントしている。

2024年の夏アニメ、初回放送の注目度(画像:以下、プレスリリースより)

 秋アニメの初回放送の注目度トップ『ダンダダン』は、平均の10倍以上という圧倒的な数字を記録。週刊少年ジャンプ+で連載中の人気漫画のアニメ化として、放送前から大きな話題を呼んでいたことが高い注目度につながった。

 2位は『らんま1/2』(57.45)、3位は『アオのハコ』(51.06)で、平均の5倍以上の注目度を獲得している。アニメデータインサイトラボは「『らんま1/2』は高橋留美子先生の名作リメイクとして世代を超えて注目を集めました。『アオのハコ』は週刊少年ジャンプでの連載と積極的なプロモーション展開が功を奏したと考えられる」とコメントした。

2024年の秋アニメ、初回放送の注目度

新作アニメの「成功パターン」は? 

 2024年夏・秋アニメを合わせて初回放送週の注目度を比較すると、秋アニメの『ダンダダン』が首位。夏アニメの『しかのこのこのここしたんたん』と『逃げ上手の若君』、秋アニメの『らんま1/2』と『アオのハコ』が続く結果となっている。

2024年の夏・秋アニメ、初回放送の注目度

 アニメデータインサイトラボはこれら上位5作品の共通項として、強力なIP効果もしくは、効果的なプロモーション戦略の存在を挙げる。

 「『ダンダダン』『逃げ上手の若君』『アオのハコ』はジャンプ系列の人気作品、『らんま1/2』は世代を超えて支持される名作のリメイク、『しかのこのこのここしたんたん』はSNSを中心とした話題作と、それぞれ異なるアプローチで高い注目を集めることに成功している」と分析する。

注目度はどう推移した? 比較したところ……

 夏・秋アニメの注目度推移の平均値(対象は7週目まで)を分析した。2024年の夏アニメと秋アニメは、ほぼ同様の減衰カーブを描いており、両シーズンとも2週目で75%前後、3週目で60%前後まで減少し、4週目以降は初回注目度の約45%前後で安定する傾向がみられた。

夏・秋アニメの注目度推移

 夏アニメの注目度推移では、初回注目度での顔ぶれから変化した。特に『負けヒロインが多すぎる!』は6週目に182%まで注目度が急上昇しており、この勢いがその後の10週目までの高維持率につながっているという。

 同様に『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』も7週目時点で119%と高い注目度を維持し、継続的な支持を集めていたことが分かる結果となった。

夏アニメの注目度推移

 秋アニメはどうだろうか。こちらは夏アニメと異なり、初回の注目度も高かった『ダンダダン』が圧倒的な注目度を維持した。初回から一貫して注目度を伸ばし続け、7週目時点で217%という驚異的な数値を記録。

 また『来世は他人がいい』は2週目に122%まで上昇後、90%前後の高い水準を安定して維持。『アオのハコ』も2週目に106%まで上昇し、その後緩やかな減少を見せながらも7週目で84%という高い維持率を示している。

秋アニメの注目度推移

注目度推移とプロモーションの効果

 夏・秋アニメの注目度推移から、効果的なプロモーション施策の重要性が浮き彫りになった。夏アニメでは『負けヒロインが多すぎる!』が有名タレントのメディア露出により大きく注目度を伸ばし、『2.5次元の誘惑』はゲームリリースとの連動で注目を集めることに成功。

 アニメデータインサイトラボは「秋アニメにおいて最も顕著な例は『ダンダダン』だ」という。放送開始時の注目度を100とした場合、海外視聴者を中心としたSNSでのショート動画拡散戦略が奏功し、7週目時点で217%という驚異的な数値を記録。同じく秋アニメの『アオのハコ』も、11月以降にファミリーマートとのタイアップやサンシャイン水族館でのコラボイベント開催など、作品の世界観を体験できる企画を展開することで高い注目度を維持した。

秋アニメ放送1〜7週目の注目度推移

 アニメデータインサイトラボは「平均維持率が7週目で40%台まで低下する中、効果的なプロモーション施策を展開した作品は60%以上の高い維持率を記録している。これは、アニメ作品の長期的な成功には、放送開始時の話題提供はもちろんのこと、視聴者との新たな接点を創出し続けることが重要であることを示唆している」とコメントした。

 調査は、2024年の夏アニメ42作品(シリーズ作品を除く新作アニメ)と、秋アニメ36作品(シリーズ作品を除く新作アニメのうち、10月12日までに初回放送済の作品)を対象にGoogleトレンドによる検索量データ(週次)を基に集計した。夏アニメの分析期間は7〜9月放送分、秋アニメの分析期間は10〜11月放送分。

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