この記事は、水野臣介氏の著書『人材ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
人材紹介では、紹介先企業と求職者の認識のズレを調整する仕事が多くを占めます。とても難度の高い仕事です。実際にあったエピソードを例にお話しします。
話は2021年にまでさかのぼります。以前から人手不足が深刻な医療・介護・保育業界では、人材確保のために紹介事業者を利用するケースが定着していました。しかし、実際に利用した一部の施設から、「紹介手数料の負担が大きい」「紹介された就職者が早期に離職してしまう」などの声が上がってくるようになりました。
人手不足で苦しむ介護現場は常に懐事情が厳しい状態です。そもそも医療・介護・保育の報酬の財源は、基本的に公費で賄(まかな)われています。このような経緯から、「紹介手数料が高過ぎるのではないか」という話にまで発展しました。
人材紹介の基本的なシステムでは、求職者が受け取ることになる年収の20〜30%を紹介手数料とします。これはどの業界でも一般的な相場です。人材獲得がし烈な建築業界では施工管理責任者の紹介料が40%を超えたという話もあります。
ではなぜ紹介手数料が高いと思われたのか。それはおそらく次の2つによるものです。
まず、紹介先施設が紹介料の相場を踏まえ、自施設の収支と採用コストのバランスを経営的な視点で捉えることができていなかったこと。もうひとつは、一部の悪質な事業者が「短期で辞めて次の職場に転職すれば『お祝い金』を支給する」と言って、求職者を短期間でジョブホップさせていたことです。
人材紹介会社は、担当する業界の相手が人材紹介というマッチングサービスを正確に理解しているかを確認し、なぜその金額の紹介料なのかということについて、しっかりと説明しなければいけません。また、その業界の離職率や育成システムを理解した上で、紹介依頼を受ける必要があります。
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