帝国データバンクは1月7日、2024年に発生した「ラーメン店」経営事業者の倒産が72件に及んだと発表した。前年の53件を19件上回り、過去最多を更新した。原材料価格などの高騰が痛手となり、閉店を余儀なくされた例が多く見られたという。
2023年度におけるラーメン店の業績は、「赤字」が33.8%。利益の減少を示す「減益」(27.7%)と合わせると「業績悪化」のラーメン店は61.5%に及んでおり、コロナ禍が大きく影響した2020年度(81.0%)に次いで、過去20年で2番目に多くなっている。
帝国データバンクによれば、国内グルメにおけるラーメン人気やインバウンド需要はラーメン業界にとって追い風となっている。一方で、豚肉・麺・海苔・メンマといった原材料の仕入れ価格や人件費、スープの炊き出しにかかる光熱費といったコスト増を価格へ転嫁できず、利益確保が困難となる例が多く見られた。
こうしたコスト高を受けて、ラーメンの価格は値上げが続いているものの、全国平均は1杯700円を下回る水準となっている。ラーメンは「安い日常食」のイメージが根強いため、トッピングなしで1杯あたり1000円を超えると客足が遠のくといわれるほど「適正価格」の形成が難しいという。こうした事情も、利益確保を年々難しくしているようだ。
帝国データバンクは「各種コストの増加分を価格に転嫁できない中小店を中心に、2025年も倒産増加のトレンドが続く可能性がある」と分析している。
集計対象は負債1000万円以上の法的整理による倒産。集計期間は2024年1〜12月。
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