2025年、乙巳(きのとみ)の年。「乙」とは発展途上の状態を、「巳」は植物が最大限まで成長した状態を意味するそうで、これまでの努力や準備が実を結び始める時期だとか。私もこれまで通り、いやそれ以上に「声にならない悲鳴」を取り上げて乙巳の流れに乗るべく精進しますので、お付き合いいただければうれしいです。
そこで今回は私のライフワークの一つ、「働き方・働かせ方」について2025年問題の視点からあれこれ考えます。
すでに多くのメディアが取り上げているように、2025年は国民の5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上という、少々ゾッとする時代に突入します。人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳になるのが理由です。
そこで懸念されるのが、労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大などです。
特に労働力不足は深刻です。労働力人口は2022年の6724万人から、30年には6430万人、2040年には5768万人にまで減少すると見込まれていています(労働政策研究・研修機構)。
一方で、2025年4月からは高年齢者雇用安定法に基づき、65歳までの雇用確保が企業に義務付けられます。そこで数年前から企業が進めたのが希望退職という名の「在庫一掃セール」です。当然のことですが、50歳や55歳の誕生日を迎えた途端に仕事のパフォーマンスが下がるわけではありません。それなのに、企業は「できることならお引き取り願いたい」圧をかけ、「今のうちに切っちゃえ!」とばかりに大規模な希望退職、つまり黒字リストラに踏み込むようになりました。
数年前に、某大手新聞社が早期退職を募集した際の退職金の上限が6000万円、某テレビ局(キー局)では1億円程度などと報じられましたから、「定年までいられるより1億円払った方が割安なんですよ!」ということなのでしょう。
その一方で、やっと、本当にやっと「このままじゃヤバい、シニア社員をなんとかしなきゃ!」「労働人口が減っていくのだから、シニア社員をうまく使わないと企業に未来はない!」とベテラン社員のモチベーション向上に取り組む企業も出てきました。
NEC、大和ハウス、ダイキン工業、大阪ガス、関西電力などは、役職定年廃止の方針を固めたとして話題になりました。
経団連が2023年9〜11月に会員企業に実施した調査でも、役職定年を「導入している」が41.4%で、「導入していない」が47.0%と上回りました。導入している企業でも、19.3%が「見直し・廃止予定」と回答しています。
そもそも役職定年は組織の新陳代謝の促進を目的に拡大してきた制度ですが、今や年下上司は珍しくありませんし、年齢差別以外のなにものでもないので自然消滅するのは時間の問題でしょう。
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