こうして「ほぼカニ」が完成したわけですが、背景を知ると「なるほど。だから商品名に『ほぼ』が入っているのね」と思われたかもしれません。実は、最初のネーミングは「Ju-Sea(ジューシー)」でした。
水分がしっかり含まれているので「ジューシーさ」と「海の幸」を表現するために、この商品名にしたそうですが、消費者にはうまく伝わらなかったのかもしれません。他のカニカマが並ぶ中で、埋もれていたようです。
わずか1年ほどで撤退して、ネーミングを変えることに。社内からは「カニよりカニ」「やっぱりカニ」という名前が出てきましたが、現在の会長が「ほぼカニ」を選びました。というのも、当時「ほぼ〜〜」という言葉が流行っていたこともあって、この商品名にしたそうです。
さて、「Ju-Sea」→「ほぼカニ」に変えたことで、どのような反響があったのでしょうか。マーケティング部の徳永貴大さんは、次のように語りました。
「販売当初はそれほど話題になりませんでした。ただ、しばらくしてパッケージの横に書いている文言が注目されたんですよね。それは『※カニではありません』。会社としては、カニと間違えてはいけないので、真剣に考えてその文言を入れたのですが、お客さまは『おもしろいね』と受け止めていただけたようです」
SNSを見ると「こんなにもカニの形をしておきながら『※カニではありません』って笑笑」「ふざけていると思いつつ食べてみたら、味も食感も『まずいカニよりよほどカニだった』ので『ほぼカニ』の命名に納得」といったコメントが相次ぎました。
同社は神戸に拠点を置いているので、新商品は関西を中心にじわじわ広がっていくことが多いそうですが、「ほぼカニ」は東京から広がっていきました。SNSのコメントを見ると、首都圏在住の人が盛り上がっていたこともあって、東京を中心に売れていったそうです。
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