この記事は、横山信弘氏の著書『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』(翔泳社、2024年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
社会人がやらないほうがいい勉強法をお伝えしておきたい。それはたった1つだけ、交流がメインの講座やオンラインサロンに参加することだ。
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
人と人とが交流する時間や機会をやたらとお勧めするコミュニティーやオンラインサロンなどは、できる限り避けたほうがいい。確かにモチベーション維持のためには効果があるだろう。しかし、交流のための時間が大きく取られると勉強効率が非常に悪くなる。
私がとても気になる言葉を紹介する。それは「勉強になります」という言葉だ。交流会などでビジネスパーソンと会い、いろいろ話をしていると、
「とても勉強になります」
「学びの深い時間になりました」
などと言われることが多い。あるテーマについてレクチャーしてそう言われるのはうれしいが「実際にいったい何が勉強になったのか?」と問いたくなる。何かを学んだ際のポイントは「記憶」である。それでは、一体何が記憶されたのか、必要なときにタイミングよく思い返せるように脳に記憶された知識やノウハウは何か? と問いたくなってしまう。
その場限りの「気付き」を得ただけで、「勉強になります」と言ってはいないか。実のところ、何を隠そう、私も昔はそうだった。いろいろなコミュニティーに参加し、著名な著者、経営者に会いに行って、「勉強になります」と言い続けた過去がある。
楽しいし、その時間は充実している。だが、結局は何も残らなかったことが大半だった。
先にも述べたが、勉強は一人でやるものだ。資格試験や高校受験、大学受験を思い出してほしい。人から刺激を受けることは大事だ。しかし誰かと交流している時間があるぐらいなら、10分でも20分でも勉強したほうがいいと思ったはずである。それは社会人になっても当然同じだ。
もちろん、人と交流することによっていろんな学びを得ることができる。しかしそれは、そのテーマにおける理解レベルが「知識と経験が点と点でつながり、腹落ちしている状態」になってからにしよう。
理解レベルがそれ以上になれば、同レベル以上の人と話をすることで、深い気付きを得られるだろう。例えば「採用におけるAI活用」というテーマで考えてみる。
理解レベルが低いと「やっぱり採用面接にもAIを活用したほうがいいんですね。勉強になります」ぐらいしか言えない。こういった発言を聞いて相手も「ああ、そうですね。確かに、時代は変わっていきますからねえ……」
といったリアクションしかとりようがない。
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