2021年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業には70歳までの就業機会を確保する努力義務が課された。正社員として20年以上勤務してきた60代の働き方と、現在の労働実態をパーソル総合研究所が調査した。
60代の雇用形態は、60代前半は65歳までの雇用義務の影響もあり、継続勤務者(55歳時点で勤めていた企業およびそのグループ企業に勤務する正社員、定年再雇用、契約・嘱託社員)が73.3%を占める。
転職者(55歳時点で勤務していた企業から転職した企業に勤務する正社員、定年再雇用、契約・嘱託社員)を含めると、パート・アルバイトではなく、正社員などでの勤務が約9割。60代後半では継続勤務者が44.7%まで減少するものの、正社員などが66.1%と3分の2を占める。
人事評価制度の適用率は、60代前半の継続勤務者でも約6割に過ぎず、60代後半では5割を下回った。転職者では60代前半・後半とも、人事評価制度が適用されている人は3分の1ほどに過ぎない結果に。正社員などであっても、半数以上の人は人事評価制度が適用されていないことが分かった。
仕事の満足度について調査したところ、60代前半で5割前後、60代後半で5割強が今の仕事に満足していると回答した。継続勤務者、転職者、パート・アルバイトのいずれも60代前半よりも60代後半のほうが満足している人が多かった。
パーソル総合研究所は「いわゆる『エイジングパラドックス』(高齢になると身体的・認知的な能力が低下する一方で、主観的な幸福感が維持または向上する傾向)のほか、不満足な人はリタイアしていくためと考えられる」と分析している。
60代の処遇や給与の変化はどうか。継続勤務者で「給与・賞与が下がった」人は60代前半で60.0%、60代後半で65.1%だった。60代前半の40%、60代後半の34.9%は給与・賞与が下がっていないことが明らかになった。
他の項目では、60代後半の「雇用区分が変わった」が51.7%と半数を超えているが、その他の項目はいずれも、60代前半・後半とも、処遇が変更された人は半数以下にとどまった。
60代前半の収入は、継続勤務者では「400万〜700万円未満」、転職者は「200万〜400万円未満」、パート・アルバイトは「200万円未満」がボリュームゾーンだった。継続勤務者は、転職者よりも収入が高い傾向がある。
60代後半の収入は、継続勤務者「400万〜700万円未満」、転職者「200万〜400万円未満」、パート・アルバイト「200万円未満」と、ボリュームゾーンは60代前半と同様の結果だった。継続勤務者・転職者ともに、60代前半と比べて収入が大きく下がっているわけではないことが分かった。パート・アルバイトはむしろ高収入の人が増えているようだ。
調査は、全国の55〜69歳の就業者・非就業者を対象にインターネットで実施した(55歳時点で通算20年に正規就業者として企業に勤務した経験を持たないかつ企業規模100人未満の回答者を除外)。有効回答数は5000件、期間は2024年10月18〜23日。
2024年に「取得してよかった資格」 簿記を抑えた1位は?
派遣で働くことにした理由 「高時給」を抑えた、1位は?
フリーランスエンジニア、契約終了の理由は? 「3カ月以内」の早期解約は65.3%に
派遣会社の約4割「直近3年で利益減」 倒産件数も増える中、どう動く?
高年収企業ランキング 「キーエンス」を抑えた、平均年収3000万円企業は?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング