セブン-イレブンが国内1号店を構えてから50年以上がたつ。鉄格子などで防犯性を高める仕組みは海外の小売店では一般的だが、なぜ今になって導入したのか。
「カラーボールや従業員用防御盾といった防犯対策は以前からありましたので、今回初めて検討したわけではありません。働く場所が多様化する中で、さらなる安全安心な職場環境を提供できるようにセーフティガードシステムの導入を開始しました」(担当者)
さらなる安全安心と話すが、日本のコンビニはそれほど危険な状況に置かれているのだろうか。警察庁が発表している「令和5年の刑法犯に関する統計資料」によると、2023年におけるコンビニ強盗の認知件数は136件。前年の74件から2倍ほどに増えているが、年々減少傾向にある。セーフティガードシステムの構想は3年前に始まったとしているが、当時、コンビニ強盗が増えていたわけではない。
一般的にコンビニ強盗は特定の地域に分布し、住宅街など客数の少ない店舗で起きやすい。時間帯では深夜に集中する。今後の導入地域について聞いたところ、希望するオーナーの店舗に導入予定で、特定のエリア・店舗に導入するものではないという。
いくつかある機能のうち注目なのが、転倒検知装置だ。上述の通り店員の異常を検知するものだが、店員が複数いれば異常に気が付くはず。すなわち、ワンオペを念頭に置いた機能と推測できる。過去、飲食チェーンでワンオペしていたスタッフが病気に倒れて死亡した事件もあることからも、ワンオペ時のアラート機能は非常に重要だといえる。なおセブンは「2人以上での勤務体制が望ましい」としており、ワンオペを制限しているわけではないという。
統計によると、コンビニ強盗に狙われるのは店員が単独か2人の店舗。2人いても、1人が商品整理などで表に出ていないと、狙われやすい傾向にあるようだ。人手不足が悪化する昨今、ワンオペの店舗は今後増えていきそうであり、深夜の人手を確保できない加盟店で導入が進む可能性が高い。
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