2024年4月から、企業は障害者への合理的配慮を行うことが義務化されている。企業はどのように従業員に必要な合理的配慮について把握しているのか。合理的配慮を提供した結果、企業が得た「成果」とは? 障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルダイバース(東京都港区)が調査を実施した。
企業はどのように、必要な合理的配慮について確認しているのか。採用プロセスにおいて最も多かったのは「面接時に応募者に直接尋ねる」(76.1%)だった。次に多かったのは「人材紹介会社からの書類や情報」(70.7%)だった。「募集、採用活動時には特に収集していない」は3.4%にとどまり、企業の多くは入社前に把握していると分かる。
身体障害と精神障害それぞれについて、どのような配慮が提供されているのか。精神障害者に対する配慮が身体障害に対してよりも多く行われる傾向にあり、「業務指示の工夫」は18.6ポイント、「障害特性に合わせた業務の創出、業務量の調整」は13.7ポイントの差があった。
企業は、合理的配慮の成果をどのように捉えているのか。最も多く評価しているのは「雇用の安定・定着」(63.0%)で、次に「適材適所の配置や適切な雇用管理」(48.8%)だった。一方で、最も少なかったのは「戦力化や活躍」で27.6%にとどまった。
同社は「企業が、合理的配慮の成果として、まず雇用の安定や定着があり、その先に『戦力化・活躍』や『就労意欲の向上』があると考えられる。そのため、合理的配慮が雇用管理や雇用の安定に役立っていると考えているものの、戦力化や活躍に対する影響はあまり感じていないと思われる」とコメントしている。
合理的配慮について、課題は「大変大きい」は17.2%、「やや大きい」は37.7%で、過半数が課題を認識していると分かった。
合理的配慮の取り組みに当たって生じる負担は、82.8%が「許容できる範囲である」とした。合理的配慮の提供は「負担以上の効果がある」と回答した企業は、9.8%だった。
調査は2月4〜11日、同社が企業の障害者雇用に取り組む担当者297人を対象にインターネットで実施した。
障害者雇用で「障害者ができそうな仕事を探す」企業は、既にやり方を間違えているCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング