人間には、情報を受け取る際に優先的に使う感覚がある。これを「優位感覚」と呼ぶ。これを知ることで、その人がどの感覚に最も敏感に反応するかを把握する手掛かりになる。
経営者や権威者はこのうち「視覚優位」が多いという意見がある。なぜなら、常に会社のビジョンを頭に思い描いているからだ。常に未来をイメージして経営している社長や経営陣、幹部は「視覚優位」になりやすいのは当然かもしれない。
だから上位役職者ほど人を集めたがる。統制範囲の原則(1人の管理者が管理できる部下の人数には限界があり、これを超えると管理効率が低下するという原則)の考え方からすれば、20人も30人も会議に呼ぶことで統制がきかなくなるのにもかかわらず、威厳を誇示したい、という無邪気な願望もあるのかもしれない。
「カメラオフでいいじゃないか」と主張する人は、自分が「聴覚優位」だからかもしれない。しかし、会議にはさまざまな優位感覚を持つ人が参加している。多くの参加者が「視覚優位」なら、カメラオフはコミュニケーション効率を下げることになる。
「でも緊張するんです」
「自宅の背景が見られたくないんです」
こんな理由でカメラオフを選ぶ人も多い。これらの懸念は技術的に解決できる。背景をぼかす機能や、バーチャル背景を使えばいい。
大事なのは「顔出し」が持つ関係性構築の力だ。
信頼関係の構築には「相互開示」が欠かせない。お互いの情報を開示し合うことで関係は深まる。カメラオフは情報の「非開示」を意味する。相手に自分を見せないことは、信頼関係構築の妨げになりかねない。
ある企業の役員は「カメラをオフにする社員は、自分の発言に責任を持っていない」と語った。これは極端な見方かもしれないが、組織の中での顔出しには「責任」の側面もあるのだ。
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