新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)

» 2025年04月14日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

言語データだけでは伝わらない「非言語データ」の重要性

 私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。コミュニケーションは組織運営の要である。そして人間のコミュニケーションは「言語データ」と「非言語データ」の二本立てだ。

 「言語データ」とは言葉や文章による情報伝達だ。一方「非言語データ」とは表情、声のトーン、身振り手振りなど言葉以外の要素だ。

 「カメラオンにする必要なくないですか?」

 こう問いかける新入社員の思考を探ってみよう。彼らは「言語データ」のみで十分だと考えている。つまり、発言内容や議事録などの「言語データ」さえそろっていれば、「非言語データ」は不要と判断しているのだ。

 確かに「言語データ」だけでも情報は伝わる。「会議の内容が伝わればそれでいいんじゃないですか?」と反論する若者もいるだろう。しかし組織とは情報だけを交換する場ではない。関係性を紡ぐ場でもあるのだ。

なぜ「顔」を見る必要があるのか

 人間の脳は「顔」に強く反応するよう進化してきた。

 赤ちゃんは生後わずか数時間で、人の顔のパターンに特別な関心を示すという研究結果がある。また、私たちの脳には「紡錘状回顔領域(FFA)」という顔認識に特化した部位があるとも言われている。

 つまり私たちは「顔」を見ることで、相手の感情や意図を読み取るよう生物学的にプログラムされているのだ。

 なぜ営業は顧客のところへ、わざわざ顔を出しにいくのか? そんなの意味がない。電話やメールで十分だと思う人はいるのだが、実際に「顔」を出したほうが成果は安定する。

 商売の面白さ、興味深いところは、商品力だけで決定しない点だ。

 営業部長だったAさんのエピソードを紹介しよう。彼は毎週のWeb会議で徹底して「カメラオン」を要求した。しかし一人の中堅社員がひと月以上にわたってカメラをオフにしたまま参加し続けた。理由を尋ねると「自宅のプライバシーが気になる」とのことだった。

 しかし、ある日その社員がカメラをオンにした途端、会議の雰囲気が大きく変わったという。表情や反応が見えることで、他のメンバーが彼の意見に積極的に応じるようになったのだ。本人もそれを実感し、以後は背景をぼかす機能を使いながらカメラオンで参加するようになった。

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