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あなたの会社でも? “静かな崩壊”が起きている──「大量離職レベル」の深刻な影響

» 2025年04月29日 07時30分 公開
[Caroline ColvinHR Dive]
HR Dive

 「静かな崩壊」(Quiet Cracking)とは何か? 労働者の「意欲低下」に新たな呼び名が生まれた。

 静かな崩壊現象の根本的な原因は、労働者が現在の職務に対して不安を感じていることにあると、報告書は指摘している。この自信のなさは、十分なトレーニングを受けていないことに起因しており、それによって自らの役割に対して不安を抱くようになるという。過去1年間にトレーニングを受けていないと回答した従業員は、職務に不安を感じる確率が140%も高いというデータも示されている。

「静かな崩壊」 その深刻な影響

 また、研究者たちは静かな崩壊の要因として、職場における「つながりの欠如」も挙げている。従業員は、自分たちの懸念に対してマネジャーが耳を傾けない状態(managerial disconnect)を経験していると述べており、静かな崩壊を感じている従業員のうち47%が、このような断絶を感じているという。

 従業員教育ツールを提供する米TalentLMSは、この現象を「大量離職」のように目立つものではないが「それに劣らず深刻な影響を及ぼす」と表現している。

photo (提供:ゲッティイメージズ)

 2022年には、労働者支援団体や人事リーダーたちが、雇用主と従業員の双方に、仕事と生活のバランスを確保するために歩み寄るよう呼びかけていた。当時は、必要最低限の業務のみを遂行する「静かな退職」が広がりを見せていた。

 一方で、企業側が「静かな解雇」に踏み切る例も報告されていた。これは、マネジャーが従業員を徐々に役職から排除していくというもので、静かな退職への対抗措置とも考えられている。

 TalentLMSの親会社であるEpignosisのCEOであるニキル・アローラ氏は、静かな崩壊を解消するための解決策はシンプルだと語っている。

 「人は、行き詰まりを感じたり、声が届かないと感じたり、将来に不安を覚えたりすると、意欲を失っていきます。学び、スキル習得、そして率直な対話を通じて成長の場を提供することが、この流れを変える最も効果的な方法です」と、アローラ氏は声明の中で述べている。

 さらにアローラ氏は、従業員に成長の場を与えることは、彼らが大切にされていると感じさせるだけでなく「職場でも人生でも誰もが求める、目的意識と前進する感覚を取り戻す助けになる」と付け加えている。

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