JR東日本は5月8日、人事・賃金制度を見直すと発表した。国鉄時代に由来する制度を見直し、社員の働き方を改革。「各制度の『当たり前』を超える」ことを目指すという。どのような改革を実行するのか。
見直しでは大卒初任給を引き上げる。東京都在住の場合、総合職が30万円(従来は27万5300円)、地域総合職が28万5000円(同26万5755円)となる。基本給は「職務能力給」へ改める。職務能力給では、昇給額を職責に応じて6つに区分。1年間の社員の業務への取り組みや成長、成果を細かく昇給に反映できるようにした。技術士、電気主任技術者(一種)、不動産鑑定士など、業務に関わる資格を取得した場合は、一時的な手当ではなく職務能力給へ加算する仕組みだ。その他、業務手当や住宅等手当、転勤手当など各種手当を新設する。
JR東日本によると、鉄道業務には、泊まりや夜間作業といった不規則勤務や、仕事に合わせたライフスタイルといった「当たり前」が存在するという。こうした当たり前も見直していく方針だ。
勤務体制は、不規則勤務を前提とせず、基本は日勤に移行する。その中でも残る不規則勤務については、社員の業務負担を踏まえた特別手当を新設する。職種ごとに異なっていた労働時間・休日数も統一し、年間の所定労働時間を短縮する。
従業員のキャリア面は従来、職場マネジメントを担う「管理者」を目指すことが当たり前とされていた。今後は管理者ルートに加え、オペレーションの高度化や技術面での人材育成を担うテクニカルリーダー職、技術サービス企業としての研究・開発を担うフロンティアスタッフ制度などを設置し、複線型の人事運用を拡充する。
定年退職年齢は65歳に引き上げ、65歳以降就労希望のある社員に対し、70歳までの再雇用制度を新設する。退職一時金制度は廃止し、企業型確定拠出年金へ移行する。
人事・賃金制度の改正は、一部を除き2026年4月1日の実施を予定している。今後は各労働組合に提案を行い、労使協議を進めるという。
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