「高いから買う」が新常識? @cosmeで見えた美容市場の変化

» 2025年06月12日 11時12分 公開
[米倉志保ITmedia]

 美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)は6月11日、「@cosmeベストコスメアワード2025上半期新作ベストコスメ」を発表した。同アワードは、2024年11月1〜2025年4月30日の間に発売された新商品を対象に、@cosmeに寄せられた口コミを基に消費者から支持を集めた商品をランキング化したものだ。

アイスタイルが「@cosmeベストコスメアワード2025上半期新作ベストコスメ」を発表(編集部撮影)

 アイスタイルの遠藤宗社長は化粧品市場について、「物価高の影響で、買い物は非常に慎重になった」と分析。その一方で、@cosmeベストコスメアワード上半期の上位10商品を見ると、過去6年間の平均と比べて約1.7倍にあたる6050円で、2019年以降で過去最高の価格となった。節約志向が高まる中で高価格帯商品が人気なのは、一見矛盾しているようにも見える。

 遠藤氏は、「(消費者が)買い物で失敗したくないという気持ちが強かった」と指摘する。アイスタイルが@cosmeユーザーに実施した調査では、41.9%が「高価格帯の化粧品は、失敗のリスクが少ないという安心感がある」と回答した。信頼できる商品を買うための判断基準の一つとして、価格を参考にしている人が多いようだ。

価格が高いことが安心感につながる(発表会資料より引用)

 そうはいっても、高額な商品については、消費者が納得しなければなかなか購入に至らない。遠藤氏は消費者が納得する要因として、商品の「開発力」と「研究力」を挙げた。実際に、同社が実施した調査では、「お金をかけたい・かけても良いと思う化粧品」として67%が回答したのが「研究開発・技術力の高さに裏付けされたもの」だった。

お金をかけたい化粧品は「研究」されたもの(発表会資料より引用)

 そんな消費者の傾向がよく表れているのが、@cosmeベストコスメアワード上半期で総合大賞を受賞した、花王のシャンプー・トリートメント「THE ANSWER」だ。

花王 THE ANSWER「スーパーラメラシャンプー&EXモイストトリートメントFOR DAILY DAMAGE」(編集部撮影)

 シャンプー・トリートメントが総合大賞を受賞するのは、@cosmeベストコスメ史上初。「花王100年の研究で導き出した、ヘアケアの答え」というキャッチコピーで「研究力」をアピールした。この傾向は、同部門4位の「SK-II ジェノプティクス インフィニットオーラ エッセンス」や9位の「HAKU メラノフォーカスⅠⅤ」でも、長年の研究成果を前面に打ち出している点でも共通している。

研究力をアピールした製品が多くランクインした(発表会資料より引用)

 その背景として同社は、韓国製化粧品の影響ではないかと推測する。一般的に、韓国製化粧品は開発期間が短く、新規性のある成分やアイデアを取り入れた商品が多い。そのため、あえて長年の研究成果や時間をかけた開発をアピールすることで差別化を図り、品質の信頼性を訴求したことが、消費者の心に響いたのではないかと分析した。

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