それって正当なクレーム? カスハラ? 企業の4割超が線引きに課題

» 2025年06月30日 11時16分 公開
[ITmedia]

 4月に東京都で「カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行され、企業のカスハラ対策が強く求められている中、約4割の企業で「正当なクレーム」と「カスハラ」の線引きがあいまいな実態が浮かび上がった。コミュニケーションプラットフォームなどを提供するシンカ(東京都千代田区)が、「カスタマーハラスメント実態調査」を行った。

それって正当なクレーム? カスハラ?(出典:ゲッティイメージズ)

 正当なクレームとカスハラの線引きについて、「あまり線引きされていない」「まったく線引きされていない」と感じている組織が合計で42.8%に上った。

「正当なクレーム」と「カスハラ」の線引きはできていると思うか

 「どのようなカスハラを受けたか」聞いたところ、「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」が最も多く46.6%だった。「名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」(41.6%)、「著しく不当な要求」(26.8%)が続いた。

自身または同僚、部下がどのようなカスハラを受けたか(出典:プレスリリース、以下同)

 カスハラを受けた後は「会社の上司に相談した」人が最も多く、50.1%だった。一方で「何もしなかった」人は11.4%だった。

カスハラを受けた後、どのような行動を取ったか

 「どのようなカスハラ対策が効果があると思うか」では、「カスハラ問題に専門的に対応する部署・チーム等の整備」(54.3%)が最も多く、「録音・録画機器の導入」(46.6%)、「従業員向けの研修や教育」(45.7%)、「カスハラ対応ポリシーや対応マニュアルの策定」(45.4%)が続いた。

カスハラ対策として効果が期待できる施策

 従業員保護と顧客満足のバランスについて、「両立できない」と回答した154人に、両立のために必要な施策を聞いたところ、「クレーム対応のガイドライン整備と明確化」(44.8%)と「カスハラ対応専門窓口の設置」(35.1%)と回答した人が多かった。

どのような施策があれば従業員保護と顧客満足の両立が可能になると思うか

 「従業員保護と顧客満足のどちらを優先しているか」に対しては、経営層(取締役以上)では「従業員保護を優先」が52.8%、「状況に応じてバランスを取っている」が30.0%、「顧客満足を優先」が11.4%だった。一方、現場(部長以下)では「従業員保護を優先」が27.9%、「状況に応じてバランスを取っている」が35.2%、「顧客満足を優先」が25.8%となった。

 「従業員保護」の観点では、経営層と現場で20ポイント以上の差があったことが分かった。シンカは、「経営層が従業員を守っている“つもり”でも、その意識や施策が現場に十分伝わっていない、あるいは機能していない可能性」を指摘した。

職場でカスハラと思われる事象が起こった時に、「従業員保護」と「顧客満足」のどちらを優先して対応することが多いと感じるか

 本調査は6月9〜10日、企業に勤務しており、過去3年間に自身、同僚、部下のいずれかが顧客対応中にカスハラを受けた20〜69歳の男女519人に対して、インターネットで実施した。

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