大阪・関西万博の海外館で建設費の未払いトラブルが相次いでいる問題を巡り、セルビア館とドイツ館の工事に参入したものの、元請けの外資系イベント会社から計約3億4千万円が支払われていないと訴える1次下請けの建設会社社長が産経新聞の取材に実名で応じた。イベント会社は来年の愛知・名古屋アジア大会を控え、運営に関する630億円規模の契約を組織委員会側と結んだ。建設会社社長は「未払い問題が来年のアジア大会に悪影響を及ぼすのではないか」と懸念する。
実名での取材に応じたのは、大阪市西区の建設会社「レゴ」の社長、辻本敬吉(たかよし)氏(54)。同社は、昨年8月以降、万博のセルビア館とドイツ館の建設をフランス資本のイベント会社「GLイベンツ」の日本法人から請け負い、開幕直前に完成させた。辻本氏は「追加工事費など約3億4千万円がいまも支払われていない」と主張。GL側はほかにもマルタ館、ルーマニア館に参入した業者からも未払い費用の支払いを求められている。
GL側は来年9月開幕の愛知・名古屋大会を控え今年4月、組織委員会側と630億円で競技会場設営・運営業務委託契約を結んだ。
辻本氏は「GL側からアジア大会への参入業者を紹介してほしいと頼まれたが、万博の未払いトラブルが問題化したことで国内業者の多くがGL側に不安を抱き、参入に二の足を踏んでいる」と明かした。
アジア大会の組織委員会は産経新聞の取材に対し「現時点では万博の件を理由に(GL側との)契約の見直しは考えていない」と説明。GL側にも見解を求めたが、取材に応じなかった。
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