山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
ネット上で食材を購入できる「ネットスーパー」に各社が参入している。国内では西友が2000年に始めた「西友ネットスーパー」が一番手と言われ、スマホの普及後に各社の参入が相次いだ。イオンやイトーヨーカドーなど小売各社のほか、Amazonや楽天など大手ECも参入している。
コロナ禍以降は地場の食品スーパーも参入が続いたものの、米中と比較すると日本の食品におけるEC化率は低く、開拓の余地はまだ大きいとされる。イオンも2023年から新たなネットスーパーを開始しており、既存のサービスと両軸で攻勢をかける方針だ。各社が展開するサービスの特徴から将来性を分析していく。
ネットスーパーを二分すると「倉庫出荷型」と「店舗出荷型」に分けられる。倉庫出荷型は家電や衣類品などを扱う通常のECと同様、一つの物流拠点から各地に配送するネットスーパーである。
一方の店舗出荷型は、実際に営業している食品スーパーの各店舗から配送するサービスである。倉庫出荷型は配送地域が限られる一方、実店舗で扱わない商品も陳列できるため、商品数が多いのが特徴的だ。また、キャパシティも巨大であり、食品スーパー数十店舗分の容量を有する。
店舗出荷型は、食品スーパーの店舗網を活用できる点がメリットだ。イオンのような大手チェーンの場合、全国に展開できる。実店舗で販売している商品に限られるため、倉庫出荷型より商品数は少ないが、店舗で調理した弁当や総菜類も販売している。当日注文→受け取りできる点が消費者側のメリットである。
大手ECは倉庫出荷型を手がける一方、地場の食品スーパーは店舗出荷型を展開している事が多い。国内のネットスーパー市場は2023年に3000億円を超え、2025年は3500億円超と推定される。
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