帝国データバンクによると、2025年1〜7月の「脱毛サロン(医療クリニックを含む)」の倒産は12件で、前年同期の4件から大きく増加した。通年でも過去最多になる見通しだという。さらに、8月18日には脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」を運営するMPHが、破産手続き開始の決定を受けた。
2023年以降、「銀座カラー」「アリシアクリニック」「トイトイトイクリニック」などの事業者が相次いで破産している。今回破産したMPHは、未施術の顧客を含め約124万人の債権者を抱える。過去2年で、業界全体では延べ150万人の利用者と3000人を超える従業員が影響を受けたと見られている。
帝国データバンクによると、倒産した脱毛サロンやクリニックの多くは、若年層をターゲットに有名タレントを起用。コース契約による多額の前受金を広告や事業拡大に投じていた。しかし、新規会員の減少で資金繰りが悪化し、「支払ったのに施術が受けられない」といった被害が広がった。
脱毛事業を展開する事業者の2024年度の業績を見ると、約4割が赤字となり、減益を含めると56.5%が業績悪化に陥った。帝国データバンクはその要因として、都市部での賃料上昇や円安による機器導入コストの増加、離職率の高さや採用難などによる人件費の高止まりなどを挙げた。また、相次ぐ経営破綻で利用者の不信感が強まり、再来店率や会員継続率が低下、新規顧客の獲得も難しくなったとした。
本調査は、負債1000万円以上で法的整理による倒産を対象に、2000年4月〜2025年7月31日の期間に実施した。
従業員退職による倒産、過去最多のペースに 待遇改善できず
飲食店の倒産、過去最多を更新 特に厳しい業態は?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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