山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
SUBARU株の上値が重い。2024年2月に3000円を超え、その後も3000円台を維持したものの夏場から日経平均株価と連動するように下落し、2500円を下回った。2500円前後を推移し、ようやく8月に入り3000円台に復活した。
SUBARUは業績が著しく悪化しているわけではない。世界販売台数はコロナ禍以前の水準に戻りつつあり、縮小が続く日産やホンダの4輪事業と明暗が分かれた。日産の株価はコロナ禍以前の半分の水準であり、市場から厳しい評価を下されている。ホンダは2輪事業が4輪事業の不調をカバーしている。SUBARUには中国進出に失敗した苦い経緯があるが、むしろこの失敗に救われたといえる。
SUBARUの業績推移(2020年3月期〜2025年3月期)は次の通りだ。
コロナ禍で需要減少により打撃を受けたほか、2021年3月期と2022年3月期は半導体不足や部品供給の停滞に見舞われ、生産調整が相次いだ。SUBARUの企業城下町である群馬県太田市では、下請け業者に対して「来週の〇日、SUBARUの工場が止まることになった。部品の生産を止めてほしい」という通達が直前に出されるほど、部品の供給が混乱したこともある。
2023年3月期以降は経済活動も回復し、販売台数も増えた。世界販売台数はコロナ禍以前の100万台には満たないが、90万台を推移している。2026年3月期は92万台の予想で、EV(電気自動車)の自社生産に向けた工事による生産制約を織り込んでいる。一方の日産は2017年度の577万台がピークで、2024年度は335万台と4割も減少した。ホンダの4輪も2018年度のピーク時には500万台を超えていたが、2024年度は2割減となっている。
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