近鉄が仕掛ける「夢洲×周遊観光」戦略 直通列車で関西全体の活性化へ（1/2 ページ）

[産経新聞]

　近鉄グループホールディングス（GHD）は、人工島・夢洲（ゆめしま）（大阪市此花区）と奈良、京都、伊勢志摩の各方面を結ぶ直通列車について、実際の線路を使った運行試験を始める方針を明らかにした。列車は新開発のハイグレードな観光列車を想定しており、実地で走行や耐久、環境などの性能を確かめる。運行開始は2030年秋に予定される夢洲でのカジノを含む統合型リゾート施設（IR）開業前を目指しており、訪日客の周遊需要を促して近畿全体の活性化につなげる。

　若井敬社長が産経新聞のインタビューに答えた。

　直通列車は奈良、京都、伊勢志摩の各方面から長田駅（大阪府東大阪市）までは近鉄、長田駅から夢洲駅までは大阪メトロの線路を使う。2つの異なる集電方式に対応しなければならず、近鉄GHDは新型車両の開発を進めている。

　現在はシミュレーションなどを行っており、若井氏は、今後「営業時間外に実際の線路で試す」と説明。検証をさらに進めていくとした。

　直通列車について、若井氏は「IRに来た客を奈良や京都、伊勢志摩に直接運ぶ、一つのコンテンツとして楽しんでもらう」と説明。「どのような客層になるか、（IRの運営会社である）『MGM大阪』と協議を進めていく」と語った。

　夢洲と結ばれる奈良では「将来的に新たなホテル建設も検討したい」とした。伊勢志摩では訪日客の誘客増が課題となっており、周辺地域の周遊などと組み合わせた旅行商品の開発などを模索する。

　また若井氏は、IRで「団体旅行や国際会議参加者の誘致、ホテル運営事業の受託を目指す」とした。