「すき家」はなぜ、異例の値下げに踏み切ったのか 背景と勝算を探る(1/3 ページ)

» 2025年09月04日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 すき家が価格改定を実施し、9月4日から新価格での提供を始める。各社の牛丼・牛めし並盛価格は吉野家が498円、松屋が460円。すき家は480円だったが、改定後は450円のすき家が業界最安値となる。

 インフレが加速し、米などの食料品価格が高騰している現状では異例の措置といえる。すき家はネズミ騒動以降、客数が前年比で減少しているため、客を呼び込む狙いがありそうだ。値下げは起死回生策となるのだろうか。値下げの詳細とその影響を考えていく。

すき家が異例の「値下げ」を発表した

「値下げ」でもコロナ禍前からは100円も高くなった

 9月4日以降の価格改定で、牛丼の「ミニ」は430円から390円、大盛は680円から650円、特盛は880円から850円になる。中盛と「メガ」は価格を据え置く。各社が提供する牛丼・牛めしの並盛価格は前述したとおりであり、すき家値下げ後は吉野家が最も高く、すき家が最安となる。1円当たりのカロリーは現時点で既にすき家(1.53)が最も高いが、値下げ後も同じ容量で提供すると仮定した場合、その差はさらに開くことになる。

筆者作成(以下同)

 業界最安値ということで既にメディアで注目されているが、過去の価格推移を振り返ると、並盛は3月以前の水準に戻ったに過ぎない。すき家はコロナ禍以降、頻繁に値上げしており、450円になったとして2019年の350円から100円も高い。

すき家の牛丼、価格の推移
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