自社の採用プロセスについて知識を持つ米国労働者の3分の1は、「2026年までにAIツールが採用プロセス全体を担うようになるだろう」と考えている。これは、履歴書作成サービスを提供する米Resume.orgが8月19日に公開した報告書によるものだ。
実際には、すでに57%の企業が採用活動にAIを導入しており、その74%が「採用の質が向上した」と回答している。一方で、半数以上の企業は「適格な候補者が不当に排除される」「バイアスが入り込む」「人間による監督が欠如する」といった懸念を抱いている。
Resume.orgのキャリアアドバイジング責任者であるカーラ・デニソン氏は「企業は候補者に対し、採用におけるAIの役割をオープンに伝えるべきだ。それが信頼を築き、候補者体験を向上させ、進化するコンプライアンス基準に対応することにつながる」と述べた。
さらにデニソン氏は「AIがどの段階で、どのように使われているのか──推薦にとどまるのか、不採用判断も行うのか、人間の監督はどの程度あるのか、どんなデータを収集するのか──を明確に説明する必要がある。このような積極的な姿勢は、公平性を促進し、候補者に備えを与え、倫理的かつ効果的な採用慣行への取り組みを示すものだ」と付け加えた。
フルタイム労働者約1400人を対象とした調査では、74%が「自社は今後12カ月で採用におけるAI利用をさらに拡大する」と回答。すでに多くの企業が履歴書のレビュー、候補者評価、コミュニケーション、オンボーディングといった場面でAIを活用している。
採用面接にAIを利用している34%の企業のうち、半数はAIに直接面接を担当させている。また、AIを用いて候補者の言葉遣いやトーンを分析したり、顔認証データを収集したりする企業もある。71%の企業は人間による監督を維持しているが、「場合による」とする企業や、完全にAIに任せる企業も存在する。
AIを採用に使う企業のうち、35%はプロセスのいずれかの段階でAIの判断だけで候補者を不採用としており、39%は初期段階に限定している。全ての不採用判断に人間の確認を義務付けている企業はわずか26%にとどまる。
それでもなお、多くの調査回答者はAIの限界に警戒感を抱いており、とりわけ「バイアス」や「候補者体験の質低下」が懸念されている。このため、4分の3以上の企業が採用におけるAIの倫理的利用を規定するポリシーを持ち、さらに20%が今後導入予定と回答している。
雇用主と候補者の双方でAIの利用が普及するなか、採用活動は「AIの悪循環」に陥っていると、採用プラットフォームGreenhouseのCEOは指摘した。候補者は「目立つのが難しい」と感じ、履歴書の小技や面接対策を駆使する一方、採用担当者は誇張された経歴を見抜こうとAIに頼るという構図が生まれている。
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AIが「正解」を教えてくれるのに あえてチームメンバーの「関係性」に着目すべき理由© Industry Dive. All rights reserved.
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