人材育成や研修、組織開発を手掛けるリクルートマネジメントソリューションズ(東京都港区)は、正社員7105人を対象に「静かな退職者」が周囲に及ぼす影響について調査した。「静かな退職」とは、仕事に必要な最低限の業務だけをこなし、それ以上は行わない状態を指す。
「同僚や上司に静かな退職者がいるか」を聞いたところ、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した割合は27.7%に達した。
周囲に静かな退職者がいると回答した人に、その影響を聞いたところ、「不利益を被ったことがある」と回答した人は55.1%に上った。一方、「恩恵を受けたことがある」と回答した人も15.1%いた。
世代別に見ると、30〜40代は不利益を感じた割合が相対的に高く、20代は恩恵を感じた割合が高かった。
不利益を受けた理由で最も多かったのは「仕事量が増えた」(47.7%)で、「モチベーションが下がった」(24.8%)、「組織の連帯感が低下した」(6.4%)が続いた。自由記述では「上司もその人には仕事を任せないからしわ寄せが来る」「給料があまり変わらないことに不公平感がある」といった声が寄せられた。
一方、恩恵を受けた理由では、「相対的に自分の評価が上がった」(12.5%)が最多で、「業務の効率化が進んだ」(10.4%)、「成長機会を得られた」(8.8%)、「モチベーションが上がった」(8.1%)が続いた。自由記述では、「仕方なく動いていた自分に評価の目を向けられた事例があるから」「自分も適度に息抜きしようと思って気が楽になった」といった意見があった。
リクルートマネジメントソリューションズは、「静かな退職は排除や防止を目指す対象ではない。公私のさまざまな状況が要因となると考えられ、悪意が無い場合が多い」と指摘。その上で「会社による適切な制度設計や上司による働きかけ、働く個人による制度や機会の活用」が重要だとした。
本調査は3月14〜26日、従業員規模50人以上の企業に勤務する25〜59歳の正社員7105人を対象に、インターネットで実施した。
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「静かな退職」を選ぶ若者に、どんな未来が待っているのか? 3つの“最悪なシナリオ”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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