米Starbucks(以下、スターバックス)は9月25日、北米における業績不振店舗を閉鎖すると発表した。その中にはシアトルにある象徴的な旗艦店も含まれる。ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)は、売り上げ不振からの回復を目指す10億ドル規模の再建策を進めている。
米国とカナダにおける店舗数は、2025会計年度末までに全体の1%、数百店舗規模で減少する見込みである。ニコル氏は、6四半期連続で米国の売り上げが減少する中、顧客を呼び戻すために「コーヒーハウス」の雰囲気を取り戻そうとしている。
閉鎖対象の中には、シアトルの旗艦店であり、労働組合が結成された店舗も含まれていた。この大規模カフェは店内に焙煎所を併設している。
1万2000人以上のバリスタを代表する労働組合「ワーカーズ・ユナイテッド」(Workers United)との交渉が2024年4月に開始したが、進展は停滞している。2024年12月には、繁忙期にあたるホリデーシーズンの数日間にわたり、複数都市の組合員がストライキを行った。
シカゴ・リッジアベニューの組合加盟店も閉鎖されたと組合が確認。バリスタたちは25日午前にも抗議活動をしていたが、それは閉店の事実が知らされる前から計画されていたという。シカゴ地域の各店舗からもバリスタが参加。デスプレーンズ(シカゴ郊外)の店舗から参加したディエゴ・フランコ氏は「店にお客を呼び込んでいるのは実際には労働者であることを会社に思い出させたい」と語った。
スターバックスの広報担当者は、店舗閉鎖の判断において「組合の有無は要因ではない」と述べている。
スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッドは声明で閉鎖を批判し、「バリスタが組合の支援を必要としていることは、これまでになく明白だ」と強調した。また、影響を受ける従業員が他店舗へ異動できるよう、交渉を行う方針を示した。
投資銀行TD Cowenのアナリストは、再建策の影響を受ける北米の直営店舗は約500店に上ると推定している。
就任初年度、ニコル氏はサービス時間の短縮とコーヒーハウスらしさの回復を目指し、店舗への投資に注力した。また経営層のスリム化にも取り組んでいる。
同社は、消費者が高価格ラテに慎重になり競争が激化する中、米国市場で四半期ごとの売り上げ減少が続いている。ニコル氏は従業員宛ての書簡で「顧客や従業員が期待する物理的環境をつくれない店舗や、収益改善の道筋が見えない店舗を特定した。こうした店舗を閉鎖する」と説明した。
同氏はまた、2025会計年度末時点で、国とカナダの直営店・ライセンス店が合わせて約1万8300店舗となる見込みを示した。これは2024年7月に提出された証券当局への報告で公表された1万8734店舗から減少する数字である。
大部分の店舗閉鎖は今年度末までに完了し、北米の直営店舗数は約1%減少する予定である。
ニコル氏は、かつてブリトーチェーンのChipotle Mexican Grillを立て直した実績があり、2024年8月のCEO就任以来、投資家の信頼を得ている。
TD Cowenのアナリストは「スターバックスは再建策の中で従来以上に積極的な行動を取っている。店舗閉鎖は予想を上回り、人員削減も、経営陣が以前発表したゼロベース予算の枠組みに沿うものだ」と述べた。
スターバックスは25日、削減対象は本部などのサポート部門であり、未充足の求人も多く取り消すと発表した。
2024年9月29日時点で、同社は米国内で約1万人を非店舗部門に雇用している。ニコル氏は「これは従業員や顧客に影響を与える重要な措置だ」と認めている。
同時に、同社は人員配置の改善や、注文処理の効率化を目的とした技術導入に投資し、店舗での顧客体験の向上を目指す。
25日午後の取引では、スターバックス株はわずかに下落した。ただし、2024年8月にニコル氏がCEOに就任して以来、株価は約9%上昇している。

Copyright © Thomson Reuters
Special
PR注目記事ランキング