SB C&Sの「購買支援」をフル活用した関空、新システムで業務改革に“追い風” 実践ポイントは

PR/ITmedia
» 2025年12月11日 10時00分 公開
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 「購買改革」で成果を挙げる企業が増えている。手作業など非効率性が残る購買業務を刷新して、コスト圧縮やコア業務への専念といった価値を生み出すことが狙いだ。購買改革の手法の一つとして、「購買管理システムが必要」だと認識している企業が57%に上ることがITmediaの読者を対象にした調査(※)で明らかになった。

※年商1000億円以上かつ関東圏の企業・団体に所属するITmediaのメルマガ会員を対象にしたWebアンケート。調査期間は2025年6月12日〜8月1日で、有効回答数は93件。

 背景にあるのが「購買プロセスが非効率的」「サプライヤー管理が煩雑」「コスト管理が不十分」といった課題だ。システム化による課題解決に期待が集まる一方で、回答者の40.9%が「現在の業務プロセスとの適合性」がシステム導入の障壁になると答えた。同調査を主催したSB C&Sは、年間100万件以上の購買関連実務に対応している経験から次の3ステップで購買改革に取り組むことを推奨している。

(1)企画・選定フェーズ:購買改革の方向性や利用システムの要件を検討
(2)導入・定着フェーズ:購買管理システムを導入、運用
(3)改善・維持フェーズ:効果を高めるための取り組みを推進

 ステップ(1)については、パーソルホールディングスの取り組み事例を取材した記事(こちら)で検討方法のヒントを紹介している。ステップ(2)では、新たなシステムの導入に対する現場の理解を得たり、利用環境を整備したりといった対応が必要だ。SB C&Sは「最初は利用率を上げることに注力すると良い」とアドバイスする。

 購買管理システムの導入を軌道にうまく乗せた好事例が、関西国際空港(関空)を運営する関西エアポートグループだ。空港で使う備品や施設に関する購買・調達を一手に担っており、SB C&Sのサポートを受けながら購買改革を実現した。SB C&Sの情報と同社への取材を基に、その実践内容を紹介しよう。

photo 関西国際空港の第1ターミナルビル

多種多様な調達業務、パーチェスワンでプロセスを集中管理

 関西エアポートグループは、関空に加えて大阪国際(伊丹)空港、神戸空港も運営している。3空港の購買を手掛ける調達部が扱うのは、事務用品などの一般的な間接材だけではない。

 「滑走路にある航空灯火や消防車など特殊車両の購入、ターミナルビルのリノベーションや護岸を維持する消波ブロックの設置といった工事案件、空港の警備・清掃といった役務の発注も調達部が担当しています。空港業務に関わる多種多様な調達を手掛けています」と担当者は話す。

 小規模の購買はSB C&Sが提供する間接材購買システム「パーチェスワンクラウド」で完結させており、大半をカタログ購買で賄っている。工事や役務の調達も同システムを通すことで、購買データや支払い業務などの集中管理を実現した。小規模な案件やグループ企業の購買をパーチェスワンクラウドに統一して省力化し、調達部のメンバーは重要な案件をフォローする体制にしている。

 現在の仕組みを取り入れることになった契機は、2013年に訪れた。関空と伊丹空港が経営統合した直後で、伊丹空港のインフラ管理を関空が引き受けることになったのだ。その後、2016年に、関西エアポートが誕生。2018年には神戸空港の運営が始まったことで、関西エアポートの調達部はグループ企業17社の購買・調達業務を担うことになり、担当者は「案件数が大幅に増えることは目に見えていました」と振り返る。

 2014年、両空港の購買プロセスを統一させる購買改革プロジェクトがテイクオフした。目指したのは、購買システムによる業務の効率化と大型案件にリソースを割く「選択と集中」の実現だ。

 「伊丹空港の旧運営会社は購買システムによる『集中購買』ではなく、各部門が必要なものを必要なタイミングで買う『分散購買』を採用していました。そこに関空が取り入れていた集中購買の仕組みを導入しようとしたため、現場からは戸惑いの声が上がりました」

 グループ各社が別々のカタログサービスを使って購買しており、その状況は容易には変えられない。関西エアポートの担当者は「『目線を合わせるために1つの購買システムに統一しましょう』と説得すると『今までのシステムで十分だ』『新システムは価格が高くなるんじゃないか』という声が出ました」と当時を思い起こす。

 システムが異なることで購買プロセスのガバナンスが不足する懸念があることが課題だった。空港という社会インフラの性格が強い事業を手掛ける以上、公平性や透明性が求められる。「気に入ったサプライヤーだから懇意にする」という姿勢は避けなければならない。

現場と対話する「巡業」 課題を聞いて回り打開策につなげる

 調達部は、改革の方針に基づいて購買システムを選定。白羽の矢を立てたのがSB C&Sの購買支援サービス「パーチェスワン」だった。見積もりの取得やサプライヤーとの価格交渉、発注、支払いを代行するBPOサービスと間接材購買システムが一体になっている点がポイントだとSB C&Sは説明している。

 「私たちがコア業務に注力するためには、少額・多頻度の『テールスペンド』(非購買計画)に関わる業務を外部にお願いする必要がありました。システムとBPOをワンストップで利用できれば、選択と集中の実現に近づけます」

 パーチェスワンの導入を決めてからが関西エアポート調達部の腕の見せ所だった。伊丹空港やグループ企業を説得するために各社に足しげく通った様子を「巡業でした」と例える。

 「四半期ごとに1社ずつ何度も回って説明しました。当時グループ会社は17社と多く、また現場担当者からは、システムの操作性も変わることから、戸惑いの声が多く寄せられ、納得していただくまでに時間がかかり大変でした」

 巡業しながら「使うためのハードルは何なのか」「何に困っているのか」といった現場の不満や課題にとことん耳を傾け、導入反対の声を拾っては課題をリスト化し、一つ解決するごとにチェックを入れる――そんな地道な活動を続けた。

 SB C&Sによると、「商品が探しにくい」といった反応を受けて独自機能を開発したこともあるという。「価格が高い」という声があれば、各社の購買量と購買金額それぞれ上位10品目は他のツールよりも安い価格でパーチェスワンのカタログに登録したそうだ。

 巡業では課題を聞き取るだけでなく、活用アイデアも集めた。調達部のメンバーやSB C&Sが驚くほど使い込んでいる人の活用方法を参考にして、購買システムの機能改善や利用促進につなげたという。

 購買改革を成功させるための重要な鍵を握っていたのが「キーパーソン」の存在だ。管理職でなくても、現場に大きな影響力を持つベテラン従業員などのキーパーソンがいる。彼らに納得してもらうことで味方に付け、会社全体の理解促進を加速させた。

 トップダウンの取り組みも欠かせなかった。経営統合に合わせて「シナジー」を合言葉に掲げた経営層の協力を仰ぎ、パーチェスワンの利用率をグループ全体のKPIに設定。経営会議で進捗(しんちょく)を報告することで、会社としての本気度を示した。上では購買改革の必要性を説き、下では浸透に関わるボトルネックを解消する。この両面作戦によって、調達部と各社の目線が合っていった。

購買案件数が5倍に増加

 地道な活動を続ける中で、現場の空気が着実に変わっていった。2020年に関西エアポートに入社した別の担当者は「私が着任したころにはパーチェスワンを使う文化が定着していました」と話す。

 パーチェスワンの「カスタムカタログ」機能を使うことで、空港ならではの特殊な品目を1つのシステム内で取り扱えるようになり、価格を一覧で比較しやすくなった。「環境に配慮したグリーン製品」を積極的にカタログに登録し、優先的に表示することで関西エアポートが注力するサステナビリティーの取り組みにも貢献。SB C&Sとしても支援を強化しており、紙ストローが普及する前からカタログに登録するなど、グリーン製品の拡充に努めている。

 従来は複数のツールにまたがっていた申請・承認の手続きをパーチェスワンで完結させ、購買額に応じて承認フローを自動的に分岐させることで利便性が向上。2023年にパーチェスワンのSaaS版であるパーチェスワンクラウドに移行したことで、マニュアルレスで操作できる分かりやすいUI(ユーザーインタフェース)になり「申請者、承認者の双方から好評です」と担当者は説明する。

 パーチェスワンの大きな成果は、購買業務量の増大に対応できたことだ。カタログ購買を除く購買案件数は、2019年には2013年対比で5倍となった。しかし、若干名増員しただけで対応できている。細かい購買業務をパーチェスワンクラウドで完結させてサプライヤーとのやりとりをBPOサービスに委ねることで、調達部はコア業務に集中できている。

 BPOサービスによって、サプライヤー選定、交渉、見積もりの取得などにかかるリードタイムが大幅に短縮された。SB C&Sが窓口対応を担うため、関西エアポートに連絡が入ることはめったにないという。「『明日には見積もりが欲しい』といったイレギュラー案件でもSB C&Sが対応してくれるのでとても助かっています」と担当者は語る。

 関西エアポート調達部はBPOサービスに含まれる「支払い代行サービス」も高く評価する。購買プロセスをパーチェスワンクラウドに統一したことでSB C&Sから届く1通の請求書を確認するだけで済むようになった。

 巡業によって信頼を積み重ねた調達部は、いつしか「頼られる存在」になっていた。

 「高額な調達案件は、グループ各社の分についても調達部が取り扱うことになっています。昔は、現場担当者が一人で抱え込んだまま期限ギリギリになることも多くありました。しかし現在では、進め方がわからない場合、以前と比べ早い段階から調達部に相談してくれるようになり、調達手続きの上流側から関与できるようになってきています。グループ内に『まずは調達部に相談してみよう』という文化が根付いたようで、うれしい限りです」

 購買改革に区切りを付けた関西エアポート。調達部のメンバーが真摯(しんし)に取り組んだことで、新たな購買プロセスが揺るぎない文化として組織に定着した。同社の取り組みは、購買改革にこれから取り組みたいと考えている企業や購買担当者の参考になるはずだ。

photo 関西エアポート調達部のメンバー

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