サントリー「金麦」がビールに 価格帯はそのまま、狙いは?

» 2025年09月30日 14時11分 公開
[米倉志保ITmedia]

 サントリーは9月29日、酒税改正が実施される2026年10月以降、「金麦」シリーズをビールとして展開すると発表した。対象は、「金麦」「金麦<ザ・ラガー>」「金麦<糖質75%オフ>」の3商品。現在は新ジャンルに分類されているが、麦芽比率を50%以上に引き上げ、ビールとして販売する。

「金麦」をビール化する(編集部撮影、以下同)

 同社によると、ビール化に当たって金麦の特徴であるすっきりとした後味を維持しつつ、麦芽比率の引き上げで飲みごたえを強化するという。価格について、サントリー常務執行役員の多田寅氏は「増税分程度は転嫁するが、新ジャンルと同等の価格帯に据え置きたい」とした。金麦を「日々、家で飲むのに一番ふさわしいビール類」として、引き続き位置付ける方針だ。

 背景には、2026年10月の酒税改正がある。現行の酒税法では麦芽比率50%以上をビール、50%未満を発泡酒や新ジャンルと定義している。現在はビールの方が税率が高いが、改正後は350ミリリットル当たり54.25円に統一される。新ジャンルなどは約7円増税となり、現在40〜50円程度の店頭価格差は25〜35円程度まで縮小する見通しだという。

サントリー常務執行役員の多田寅氏(写真左)

 サントリーによる市場予測では、2027年のビール市場が2019年比で136%に拡大する一方、エコノミー価格帯(発泡酒・新ジャンル)は54%まで縮小する見込みだとした。多田氏は「価格差が縮まるため、ビール化への流れは継続していくのではと考えている」と話した。

 ただし、エコノミー市場の存在感は依然大きい。インテージの調査によれば、2025年上期の1人当たりの月間平均購入量はビールが5.3本に対し、エコノミーは11.7本と2倍以上だった。サントリーの調査でも「できるだけ安価なお酒を選びたい」「価格に見合った価値があるか吟味する」といったニーズが増えているという。

 多田氏は「購入量やお客さまニーズを踏まえても、エコノミー市場の活性化はビール会社として極めて重要な役割だ」と説明。金麦をビール化しつつ従来の価格帯を維持することで、ビール市場全体の活性化につなげる考えを示した。

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