リモート勤務を基本とする企業の83%が高い生産性を報告。そのうち21%は「非常に高い」と回答している──そんな結果が、米Institute for Corporate Productivity(企業生産性研究所)とクラウド・サイバーセキュリティを手掛ける米Akamai Technologies(アカマイ・テクノロジーズ)が9月24日に発表した報告書で明らかになった。
注目すべきは、リモート勤務を基本とする企業の62%がVPN使用ログやキー入力追跡といった監視ツールを導入していない点だ。報告書はこれを「強い相互信頼文化」の表れと指摘している。
「私たちは従業員が最も成果を出せる場所で働くことを望んでいる。柔軟な働き方は従業員をエンパワーする有効な手段だ」──Akamai Technologiesの執行副社長兼CHROのアンソニー・ウィリアムズ氏は述べた。
シニアリーダーや人事担当者59人を対象とした調査では、52%がリモートファースト体制を採用しており、その大半はパンデミック期またはその直後に移行していた。一方、将来的に出社中心へ戻す計画があると回答したのはわずか7%だった。リモートファースト体制を採用する理由として、広い人材プールへのアクセス(72%)、ワークライフバランス(62%)、離職防止(31%)が上位を占めた。
こうした企業は、つながりを維持するために年次・半期ごとの対面イベントを実施している。戦略セッション(86%)、チームビルディング(76%)、交流会(72%)などが代表的だ。
Akamai Technologiesもリモート中心の働き方を推進。その成果として従業員の業績評価の向上した。また、離職率は世界のテック業界平均(13.2%)を下回る7.3%、2025年には採用1件当たりの世界的応募者数が前年比15%増となったと報告している。
柔軟な働き方は近年安定しており、米調査会社Gallup(ギャラップ)の報告によると約半数の職場がハイブリッド型を選択している。今後の働き方を形作るうえで、マネジャーはチームの調整や信頼構築といった課題に取り組む重要な役割を担っていると同社は述べている。
ただし、Akamai Technologiesの調査結果とは異なり、実際にはリモート監視がより一般的になっている可能性がある。求人情報および企業レビューサイトの米Glassdoor(グラスドア)によれば、2025年第1四半期には「企業監視」という言及が前年比51%増加、2021年以降では216%増加。研究者は、監視ソフトの導入が職場文化や生産性に影響を及ぼす可能性があるため、経営者は新たなプログラムを実施する際にその点を考慮すべきだと指摘している。
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