個人情報流出のリスクに対する警戒感が強まり、かつて出世に不可欠とされた「人脈」の価値観にも変化が生じている。現代の社会人は、人脈や人脈形成をどのように捉えているのか。パーソルキャリアが運営する調査機関「Job総研」が調査を実施。20〜50代の働く男女430人から回答を得た。
出世のための人脈は「必要だと思う」が83.8%を占めた。内訳は「とても必要だと思う」が19.8%、「必要だと思う」が32.6%、「どちらかといえば必要だと思う」が31.4%。
人脈が評価・昇進に「影響すると思う」とした人は64.7%に上った。また、今後3年の間に人脈を「広げたい」とした人は76.3%と過半数を占める結果となった。
人脈を広げることへのリスクを「感じる」とした人は51.7%と過半数を占めた。内訳は「とても感じる」が11.9%、「感じる」が14.2%、「どちらかといえば感じる」が25.6%。また、「リスクを感じる」とした20代は60.3%、30代は51.1%、40代は40.5%、50代は40.0%となり、年代が低いほどリスクを感じている結果となった。
具体的に感じるリスクについては「プライバシーの侵害」が48.6%で最多となった。「精神的疲労」(37.2%)、「情報漏えいの不安」(34.0%)と続いた。また、人脈作りで避けたいSNSや場所については「X(旧Twitter)」が31.4%で最多となった。
社会人になった当初と比べて、人脈の重要度が「上がった」とした人は77.1%と過半数を占めた。また、仕事で人脈を作ろうと「している」とした人は66.7%に上り、人脈の重要性については肯定的な意識が強いと明らかになった。
人脈を作ろうとしている理由について、最も多い回答は「相談相手が欲しい」となり42.2%に上った。その他「業務を円滑に進めたい」(36.6%)、「専門知識や情報を得られる」(35.9%)が上位となった。
一方で、人脈を作っていない理由については、「無理に付き合うのが疲れる」が最も多く52.4%。次いで「プライベートと分けたい」(35.0%)、「出世や昇進に興味がない」「今の人間関係で十分」(同率25.9%)と続いた。
回答者からは「人脈にも良い人脈と悪い人脈がある。SNSとか、見知らぬ人とつながるのは危険だと思う」「自分は内向的な性格であるため、人脈に固執をしてしまうと疲弊してしまうので注意したい」といったコメントが寄せられた。
同社は「若年層ほど人脈形成にリスクを感じやすい一方で、キャリアアップや情報収集のためには必要と捉えている二面性が浮き彫りになった」「今後は、オンライン上での『ゆるい接点作り』だけでなく、『信頼性や安全性の確保』を前提とした質の高い人脈形成など、人脈作りの使い分けが行われていく可能性が考えられる」とコメントしている。
調査は9月3〜8日にインターネットで実施した。
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