企業が成長するためには「優れた人材の確保」が不可欠となる。今回「候補者の本質を引き出す採用面接の極意」について、営業・マーケティングノウハウを生かした独自メソッドで企業の目標達成を支援する、採用コンサルティング会社のアタックス・セールス・アソシエイツ取締役の酒井利昌さんに話を聞いた。酒井さんの著書には『いい人財が集まる会社の採用の思考法』(フォレスト出版)がある(2023年に増補改訂版を刊行)。
――まずは、採用面接において、相手の強みや良いところを引き出すために意識しているコミュニケーションについて教えてください。
意識していることは6つあります。
1つ目は「話しやすい場を作る(アイスブレイク)」です。まず「本日はありがとうございます」という感謝の言葉を伝え、当たり障りのない雑談から始めましょう。面接では、互いに緊張していますから、潤滑油となるようなコミュニケーションで距離を縮めることが大切です。このステップを省略し、いきなり本題に入るケースが多いので気を付けましょう。
2つ目は「ありのままで良いと思ってもらう」ことです。そのために、面接官から自分が何者であるかを自己開示する必要がありますが、実はこれも省略されがちです。そうすると、候補者は「いったい誰と話しているのだろう?」という不安を抱えたまま会話を進めることになります。
しかし「取締役の〇〇です」と肩書だけを伝えるのではかえって委縮させることもありますから、「私はいつ、こういった理由で入社しました」「入社前後はこんな失敗もしました」といった、少し個人的なストーリーや弱みを含めて伝えるとよいでしょう。それによって、候補者には人から受け取ったものを返そうとする心理効果の「返報性の原理」が働きますので、候補者の本音を引き出しやすくなります。
本音を引き出せないと、良いところだけを見せ合う「アピール合戦」になりかねず、入社後のミスマッチを生むかもしれません。それを防ぐためにも、ありのままを話せる場づくりは不可欠です。
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