従業員からのフィードバックを受けた後、リーダーは早く行動を変えようとすべきではない――急速な変化は従業員に「不自然」「偽りのようだ」と映り、信頼を損なう可能性があることが、9月24日に『Academy of Management Journal』(アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル)に掲載された研究で明らかになった。
研究によれば、従業員が求めているのは急な変化ではなく、「自分たちの意見がきちんと聞かれ、熟考された結果としての自然で段階的な変化」である。
米サウスフロリダ大学ムマ・カレッジ・オブ・ビジネスの経営学助教授ダンビー・チョン氏は、10月6日に発表した研究発表で「リーダーにとって、単に変わるだけでは十分ではない。その変化がどのように受け止められるかも考慮すべきだ。多くの人は“本当の変化には時間がかかる”と信じている」と述べている。
チョン氏と研究チームは3つの調査を実施した。まず、研究大学に在籍する博士課程の学生205人を対象にアンケートを実施。その後、経営幹部が作成した行動計画を基に、2000人の従業員から反応を収集した。
その結果、リーダーが迅速に対応した場合、たとえ従業員がその変化を求めていたとしても、「誠実さ」「真実味」が欠けて見える傾向があることが分かった。特に、実行が難しい変化であるほど、その“偽り感”は強く認識されるという。
一方で、研究者らは「常にゆっくり変わることが良いわけではない」とも指摘している。状況に応じてスピードと真実味のトレードオフを考える必要があるという。
「変化が容易な場合、迅速に対応するリーダーは“やや不自然”に見えるかもしれないが、その一方で“応答性が高い”と評価され、従業員が“自分たちはきちんと見られている”と感じることにもつながる。真実味は重要な要素の一つだが、リーダー評価を決定づける唯一の要因ではない」とチョン氏は述べている。
総じて、研究チームは「誠実な変化」こそが従業員の発言意欲を持続させる鍵であると結論づけた。別の報告書でも同様の傾向が確認されており、企業は従業員からのフィードバックを求める際、それを実際に行動へ反映する覚悟が求められる。もし意見を無視したり、形だけで終わらせたりすれば、従業員の信頼とエンゲージメントは確実に低下すると指摘している。
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