米グーグルの量子コンピューター研究部門は、従来型のコンピューターをはるかにしのぐ性能で計算できることを示す「量子超越性」を実証するための新たなアルゴリズム(計算手順)を開発したと発表した。研究成果は23日、英科学誌ネイチャーに掲載された。
開発したアルゴリズムを使って、量子コンピューターの方式の一つである「超電導方式」向けに同社が開発した処理チップ「ウィロー」で計算すると、世界最速級のスーパーコンピューターと比べて1万3千倍も高速で動作するという。
スパコンで数年かかる問題を数時間で解けることを意味し、創薬や材料開発などに貢献できる可能性がある。例えば、物質の分子構造を解析する核磁気共鳴装置(NMR)のデータを、新たなアルゴリズムでシミュレーションし、分子の構造や挙動を解明することなどが考えられる。同部門のディレクターで最高執行責任者(COO)のカリーナ・チョウ氏は「望遠鏡と顕微鏡が新たな未知の世界を切り開いたようなものだ」と指摘。その上で「量子コンピューターでなければ不可能で実用的な計算が、5年以内には実現できると楽観している」との見解を示した。(松田麻希)
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