人手不足が深刻化し、多くの企業が限られたリソースでの生産性向上を求められている。従業員は日々、業務を効率化するためにどのような取り組みをしているのか。ISOの新規取得・運用サポートサイトを運営するNSSスマートコンサルティング(東京都新宿区)が調査を実施した。
日々の業務を効率化するための工夫について、最も多い回答は「業務の優先順位づけ・ToDo整理」となり56.1%に上った。「時間管理やタスク管理におけるツールの活用」(28.8%)、「AIツールの活用(ChatGPTなど)」(21.8%)と続いた。
AIツールや自動化の活用は約2割にとどまる結果に。「導入コスト」や「使用に対する心理的ハードル」「業務特性とのマッチング」の壁が一部存在していると考えられる。
実践している工夫によって、「効率化できている」とした人は、合わせて約8割を占めた。内訳は「とても効率化できている」が13.0%、「ある程度効率化できている」が68.3%。
効率化によってできた時間の使い道を聞くと、最も多い回答は「本来業務(コア業務)に集中する」で51.2%。その他、「後回しにしていたタスクを処理する」(31.6%)、「新しいアイデアや企画の作成をする」(25.9%)が上位となった。
一方で、約8割が「個人の努力だけでは業務効率化に限界があると感じる」とした。大多数が個人の努力だけでは抜本的な業務改善に至らないと考えていることが明らかになった。
具体的には、「ノウハウが属人化している」(41.0%)、「業務量が多すぎてリソースが足りない」(39.8%)、「同じ作業でも人によってやり方がバラバラ」(39.6%)といった課題が上位に挙げられた。その他、「個人で努力して効率化しても評価されない」といったモチベーションの問題も一定数見られた。
「会社が業務効率化を従業員任せにしていると感じる」とした人は約8割に上った。回答者からは「ツール更新やタスク管理などは従業員に一任しており管理ができていない」(30代男性、東京都)、「個人目標だけ設定して、どのように達成するかは一切関与しないところ」(40代女性、京都府)、「業務マニュアル等の未整備」(50代男性、北海道)といったコメントが寄せられた。
また、「業務効率化を進めるには、個人の努力だけでなく会社として統一したやり方や仕組み(=標準化)の整備が必要だと思う」とした人は合わせて84.7%を占めた。
標準化を進めることで期待する効果について、最も多い回答は「トラブルやミスの防止」となり48.5%に上った。次いで、「部署やチームをまたぐ業務の円滑化」(34.7%)、「引き継ぎや新人教育の円滑化」(34.6%)と続いた。
導入してほしい取り組みについては、「業務フローのマニュアル化・手順書作成(操作マニュアル・チェックリストなど)」が最も多く43.4%。その他、「業務プロセスの可視化(フローチャート化・申請承認のプロセスマップなど)」(38.4%)、「ルール・規程の整備(稟議ルール・顧客対応ポリシーなど)」(34.5%)が上位となった。標準化の第一歩として、具体的な手順の明文化が強く求められていることが分かった。
調査は10月1〜2日に実施。20〜50代の会社員1009人から回答を得た。
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