この記事は、金間大介氏、酒井崇匡氏の著書『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル』(SBクリエイティブ、2025年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
以下の図表をご覧いただきたい。これはSHIBUYA109エンタテイメントが発表した「Z世代の仕事に関する意識調査」の結果だ。
ここでの最大の注目点は、「分かりやすい言葉で説明してくれる上司」「丁寧に教えてくれる上司」の圧倒的人気だろう。文字通りの「してくれる上司」ツートップ。
すべての選択肢を見たとき、「決断力がある」や「尊敬できる」といった、極めて普遍的に上司が持つべき必須項目が並んでおり、若者たちは当然それらに多く投票するものと思っていた。
が、ふたを開けてみれば、それらの選択肢は票数が伸びず、真ん中やや後方あたり。僕が「普遍的」と思っていたことが、今の若者たちの手によってあっさりと変容してしまった。
このデータでもう一つ着目したいのが「自分の理想に近い生き方・働き方をしている」という項目だ。
複数回答可という設問において、わずか12%程度しか票が入っていない。若者はときどき「ロールモデルがいない」といったことを、働く上の不安の一つとして表出する。そしてまじめな人事担当者は、このコメントを真摯に受け止める。が、実際のところ、上司や先輩に自分のロールモデルを求める若者は少数しかいないということだ。
大事なことなので、換言してもう一度。今の若者の多くは、所属組織の上司や先輩を、自分の世界線の延長として真剣に捉えることをしない。この結果は僕の研究ともよく合致している。僕の見立てでは、このように上司や先輩を自分と同じ世界線で考える若者は多くても2割程度だ。
それ以外の若者は、自分の世界はあくまで同世代(特に同性)を中心に構成されており、その外の人たちを別世界の生物と見なしている節がある。若者にとって見本となるのは、あくまで「横」の世界。具体的には、同世代かつ自分と近い生き方をしている人たちが、自分のそれと大きく乖離していないかが重要になる。
なぜこの授業を履修したかと問えば、みんな取ってるから。なぜインターンシップに参加するかと問えば、みんなが参加しているから。大学においても、こうした風潮は極めて普通のことだ。
以下の図表は日本能率協会が新入社員を対象に取ったアンケートだ。この調査が優れているのは、全く同じ質問を各年の新入社員にしていること。つまり、その年ごとの新入社員の気質が、データの変化となって現れている。
さて、同図の右から3つ目を見てほしい。「仕事の結果に対する情熱を持っている」上司は、ご覧の通り、この10年で大きく票を減らしている。34%から9%という落ちっぷりだ。
同じように、「場合によっては叱ってくれる」も激減していて、真摯に仕事に取り組む上司に対する拒絶反応が強まっていることがわかる。他方、もうすでに何度も登場している「仕事について丁寧な指導をする」上司がここでもぶっちぎりのトップだ。
関連して、「部下の意見・要望に対し、動いてくれる」も絶好調の勢い。あえて強調するが、意見・要望を“聞いてくれる”上司ではなく、“動いてくれる”上司が人気となっている。
仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル
職場・家庭・社会で「若者」と向き合うすべての人へ。
30年の観測調査データで、謎に満ちた素顔が明らかに。
これが彼らの、表には出さない本音
仕事・消費・恋愛・コミュニケーションに至るまで、多面的な切り口から世代間ギャップを解説し尽くす。
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