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ゆりかごから墓場まで サントリーが挑む「ブランドの壁」を超える顧客データ統合

» 2026年01月30日 06時00分 公開
[ITmedia]

この記事はトレジャーデータが2025年12月2日に開催したTreasure Data Connected World 2025内のセッション「予測モデルで加速する生成AI時代の顧客起点のコミュニケーション」の内容を基に作成した。


 BOSS、伊右衛門、ザ・プレミアム・モルツ、ほろよい……。さまざまな商品を展開するサントリーホールディングスは、ゆりかごから墓場まで、顧客のライフスタイルが変化しても絶えず接点を持てないか、模索している。

 デジタル本部 デジタル推進部の右近幸一課長は「サントリー天然水を使って粉ミルクを、その後は甘いジュース、そして20歳を超えたらビールやウイスキーを楽しんでいただきたい」と説明する。

 BtoBtoCモデルのサントリーが顧客の購買データなどを直接取得することは難しい。そこで同社が注力するのが、部署やブランドを超えた統合顧客基盤の構築だ。

サントリーが目指す顧客基盤(提供:トレジャーデータ)

 鍵となるのがLINEだ。「サントリー」アカウントは3770万人、酒に特化した「おとなサントリー」アカウントは2520万人の登録者を誇る(※1)。

※1:2025年12月2日のイベント時点、ブロック者数も含める

 特茶やザ・プレミアム・モルツ、BOSSなど、ブランドごとにも個別アカウントを持ち、同社が運営するLINEアカウントの総数は50を超えるという。同社はこのLINEアカウントを活用し、ブランドを超えた相互送客の実現を目指す。

ブランドを超えた相互送客を強化

 同社は(1)商品紹介やプロモーションを配信する広告メディア、(2)キャンペーン応募の窓口──という位置付けでLINEを活用している。

 総合アカウント「サントリー」は3770万人、酒に特化した「おとなサントリー」は2520万人の登録者を誇り、個別のブランドも合わせて、同社全体で50以上の公式アカウントを運営している。

LINE公式アカウントの概要(提供:トレジャーデータ)

 KPIは「新規顧客の獲得」「継続・アクティブ化率」を重視する設計で、データを活用しながら施策のPDCAを回している。

 今回の記事では、2つの改善事例を紹介する。

 1つ目は、ブランドを超えた相互送客による広告効率の改善だ。

 データクリーンルームを活用し、各アカウントでどれだけ登録者に重なりがあるのかを確認した。総合アカウントと各ブランドのアカウントの登録者を比較すると、数十パーセントの顧客はどちらか片方しか登録していない実態が分かった。

 例えば、「ザ・プレミアム・モルツ」には登録しているが、「おとなサントリー」には登録していない顧客がたくさんいた。「各アカウントが保有する顧客を相互利用することが重要だと考えた」(右近氏)

重複配信の活用(提供:トレジャーデータ)

 今後は、顧客の登録状況ごとに配信するメッセージを変えるなど、実験をしていく予定だ。

 例えば「サントリー」(総合)と「BOSS」両方を友だち登録している顧客と、「BOSS」しか友だち登録していない顧客で、キャンペーンのメッセージを出し分けてみることなどが想定される。右近氏は「新規獲得のROI(Return on Investment、費用対効果)が、外部に大量出稿するよりも結構効率よく社内で回せるのではないか」と期待を寄せる。

開封率をチェックし、配信効率も改善

 配信効率の改善にも取り組む。

 データクリーンルームを活用し、アクティブ率や開封率を分析。セグメント配信を実施した。

 「今まではとにかく登録者を増やし、大きい規模で一斉配信ができる基盤だという認識だった。一方で、配信を何カ月も見ていないお客さまもいるのではないかと疑問に感じていた」(右近氏)

開封率をチェックし、配信効率も改善(提供:トレジャーデータ)

 総合サントリーとおとなサントリーの顧客データを確認すると、1〜2カ月以上未開封の顧客が一定数いることが分かった。未開封期間がそれ以上続くと、休眠状態になる傾向も見えてきた。

 そこで、4カ月以上未開封の顧客を除外して配信してみたところ、開封率が12.6ポイント改善した。

 「セグメント絞り込むと、リーチできる人数も減ってしまうのではないかという意見もある。しかし、開封し、実際にアクションを起こしてくれたお客さまの数は、ほぼ減らなかった。かつ、無駄打ちもなくなったので、配信コストの圧縮にもつながった事例だと考えている」

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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