ディープラーニングの広がりを可視化、予測する:約2000件を分析(1/6 ページ)
今、ディープラーニングを巡る研究開発競争が激化しています。今回は、ディープラーニングを用いた応用研究の状況と、研究成果を発表した論文の著者関係から構成されるネットワークを分析、理解していきます。
ディープラーニングはどのように応用されているのか
昨今、人工知能技術にブレイクスルーをもたらしたアルゴリズムとして、ディープラーニングを巡る研究開発競争が激化しています。
GoogleやFacebookがディープラーニングを研究するスタートアップ企業を買収していたり、数多くの研究者がディープラーニングを用いた研究成果を発表している現在の状況ですが、具体的にどのような分野へと応用されているのか、広い視点から理解する機会は少ないのではないでしょうか。
別の記事では、ディープラーニングというアルゴリズムについてそのイメージをつかむことに重点を置きました。(関連記事:「ディープラーニングとは何なのか? そのイメージをつかんでみる」)
本稿では、ディープラーニングを用いた応用研究の状況について、その研究成果を発表した論文の著者関係から構成されるネットワークを分析、理解していきたいと思います。
ディープラーニングの応用事例
ディープラーニングが革新的なアルゴリズムとして認識され始めたのは、2012年のIRSVRCという画像認識のコンペティションでした。たくさんの画像をコンピュータに分類させ、その精度を競う大会で、ディープラーニングを活用したトロント大学のヒントン教授率いるチーム“SuperVision”が2位以下に圧倒的な差をつけて勝利したのです。
下の図は画像認識の誤差率を示しています。ディープラーニングを用いたSuperVisionが2位以下を圧倒しています。
このように画像認識の分野から有名になったディープラーニングですが、他の分野への応用についてはどうでしょうか。本来ディープラーニングはあくまでもデータを分類するためのアルゴリズムの1つなので、応用分野は非常に多岐にわたります。
例えば、音声認識分野においてはGoogleの音声検索や、iPhoneのSiriなどが代表例です。
また文章解析への応用も盛んです。特に文章から感情を予測する感情分析での研究が精力的に行われています。
IBMが開発する人工知能のWatsonやソフトバンクのPepperにも感情分析のシステムが搭載されており、人とのコミュニケーションを取ることができる人工知能の実現に一歩一歩近づいてきています。
さて、事例としてはさまざまなものを挙げることができますが、本稿ではもう少し大きな視点、論文ネットワーク分析というマクロな視点でディープラーニングを概観していきましょう。
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