コラム
ディープラーニングの広がりを可視化、予測する:約2000件を分析(2/6 ページ)
今、ディープラーニングを巡る研究開発競争が激化しています。今回は、ディープラーニングを用いた応用研究の状況と、研究成果を発表した論文の著者関係から構成されるネットワークを分析、理解していきます。
ディープラーニングに関する論文著者で作るネットワーク
今回、2015年に発表されたディープラーニングに関する論文のデータ約2000件を用いてネットワークを構築しました。ネットワークの各点が論文を書いた人の名前で構成されており、点同士は一緒に論文を書いたことがあればつながります。
もう少し細かく説明していきます。
著者を点として表現しています。そして、ある論文が複数の著者によって執筆されていれば、共著者同士を線で結びます。
つまり他の点とたくさんつながっていればいるほど、その人の影響力は非常に高い、ひいてはその人の研究分野に関する注目度が高いと考えて問題ないでしょう。
さて、2015年現在、影響力の大きいディープラーニングの応用分野はどのようなものでしょうか。論文執筆者の研究分野を基にネットワーク上で分類を行ったのが次の図です(※1)。
※1=論文データの収集にはweb of science, core collectionを用いました。また今回示した分野以外にも、物理・化学・資源分野などがありましたが2%以下の分布率だったので割愛致しました。
このように医学・生物学分野は比較的同じ領域の著者同士がつながっている傾向にありますが、対照的にコンピュータ科学・人工知能分野はさまざまな領域に点在しており、学際的な研究が進んでいることを感じさせます。
また他の分野として、社会科学や分野横断型科学の分野が10%前後存在していることが確認できました。
関連記事
- ディープラーニングとは何なのか? そのイメージをつかんでみる
今や毎日のように人工知能に関するニュースが飛び込んできますが、その中でも特に注目を集めているのが“ディープラーニング”。そのディープラーニングとは一体何なのでしょうか。 - クリエイティブなコンピュータは出現するか?
気付きや仮説を設定するという“クリエイティブ”な行為は、人間の大きな能力です。人工知能に膨大なデータを蓄積させることによって、いつの日か、人間のように「気付く」ようになるのでしょうか? - 10年後になくなる可能性が高い職業とは(前編)
今回は、オックスフォード大学発表の論文に用いられている機械学習手法をもとに、日本で「なくなる可能性が高い職業」を具体的に考えてみます。 - ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」――今、人工知能で人の感情はどこまで分かるのか?
ソフトバンクがパーソナルロボット「Pepper」を発表した。感情認識機能が目玉のようだが、実際にロボットは人間の感情を認識できるのだろうか。 - ロボット化が進めば、中間層はどうなるのか
「人間がロボットに支配される」――。こんな話を本で読んだり、映画で見たことがある人も多いだろう。ロボットの性能が向上しているが、このまま進化していけば人間はどうなってしまうのだろうか。
関連リンク
Copyright © Credo All rights reserved.