「追加料金」を発生しないようにしたら、葬儀社が大きくなった:水曜インタビュー劇場(葬儀公演)(2/6 ページ)
「葬儀費用ってよく分からない。騙されているのでは」と不安を感じたことがある人もいるのでは。不明瞭な会計を止めて、追加料金一切不要のプランを打ち出すことで、業績を伸ばしてきた会社がある。大阪府に本社を置く「ユニクエスト・オンライン」だ。
どこに問い合わせればいいのか、さっぱり分からない
土肥: ユニクエスト・オンラインは「葬儀社」ということですが、従業員は基本的に葬儀の現場に足を運ばないそうですね。どういったビジネスモデルなのか教えていただけますか?
八田: その前に、当社の歴史を簡単にご紹介させてください。2005年、葬儀会社は関西に約1500社ありましたが、自社のWebサイトをもっていたのは5社ほどしかありませんでした。しかもサービスメニューと価格の表示がきちんと掲載されていませんでした。
一般的に葬儀費用は150万〜200万円と言われていましたが、私たちは不透明な価格に疑問を感じていました。そこで2006年に会社を設立して、葬儀会社が価格を掲載する検索サイト「葬儀本・関西版」をリリースしました。最初は掲載料を収入源にする広告サイトだったんですよ。
土肥: レストランやクーポン情報などが掲載されている「ぐるなび」のようなサイトでしょうか。飲食店からお金をもらって情報を掲載するという。
八田: ですです。葬儀会社から月に3万9000円いただいて、「送客しますよー」という形ですね。しかし、ここで問題が起きたんです。例えば、大阪の梅田で50人規模の葬儀を行いたいという依頼があっても、A社は100万円、B社は150万円、C社は200万円といった感じで、ほぼ同じ条件なのに価格に幅がありすぎたんですよ。
土肥: で、どうなったのですか?
八田: お客さんからこんな声がたくさんありました。「どこに問い合わせればいいのか、さっぱり分からない」と。価格がサービスに見合っているのか、追加料金が発生するのか、といった情報を確認することができませんでした。やがて、人気のある葬儀社と、人気のない葬儀社の二極化が進んでいきました。
そこでビジネスモデルを転換しました。情報掲載料は無料にして、受注額に応じて葬儀社から手数料をいただく「従量課金制」にしました。掲載数も増え、黒字化を達成できたのですが、問題は残ったままでした。
関連記事
- 葬儀代を明朗会計にした会社――すぐに“嫌がらせ”をされた
不透明な葬儀業界において、明朗会計で料金をガラス張りにした会社がある。それは、名古屋市に本社を置く「ティア」。葬儀代金をオープンにして、価格を安くしたら、すぐに“嫌がらせ”を受けたという。同社の冨安徳久社長に話を聞いた。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - なぜ“普通のオトコ”は、なかなか見つからないのか?
「彼女がほしいのに、なかなかできない」と悩んでいる男性も少なくないはず。会社の女性には声をかけにくいし、飲み会に参加してもなかなか結果がでない。そうした悩みに対し、恋愛マーケティングの専門家に話を聞いた。全3回でお送りする。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - ヒットの香りがプンプン漂う「ザ・トースター」は、どのようにして完成したのか
バルミューダの新商品「ザ・トースター」が注目されている。食パンなどが“しっとり感”を保ったまま、焦げる手前の焼き加減で仕上がるので、試食会に多くの人が殺到しているのだ。ヒットの予感が漂うこの商品は、どのようにして完成したのか。同社の寺尾社長に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.