葬儀代を明朗会計にした会社――すぐに“嫌がらせ”をされた:仕事をしたら“葬儀を安く”できた(前編)(1/6 ページ)
不透明な葬儀業界において、明朗会計で料金をガラス張りにした会社がある。それは、名古屋市に本社を置く「ティア」。葬儀代金をオープンにして、価格を安くしたら、すぐに“嫌がらせ”を受けたという。同社の冨安徳久社長に話を聞いた。
斎場費用、火葬費、霊柩車運転手代、お坊さんへのお布施――。葬儀費用って、一体どのくらいかかるのか?
不透明な葬儀業界において、明朗会計で料金をガラス張りにした会社がある。それは、愛知県名古屋市に本社を置く「ティア」。
葬儀費用の明細をみると、祭壇や会館使用料はもちろんのこと、ドライアイス、送迎バス、拾骨セット、司会進行、消臭・防腐剤なども記載されている。また、入会金1万円で会員になると(年会費、月々の掛金なし)、110万円のお葬式のコースが約半額の57万円に。中部地方の平均葬儀費用は188万円だが、ティアは約70万円も安い119万円となっている。
葬儀業界の市場規模は2014年で約1兆9000億円規模になると見込まれ、今後も高齢者の増加とともに2040年まで安定成長が見込まれている(矢野経済研究所「葬儀ビジネス市場に関する調査結果 2010」より)。ただ、核家族化の増加や地域社会の希薄化などを背景に、葬儀の縮小化や家族葬の増加、葬儀そのものを行わない直葬が増えつつある。
葬儀件数は増えていくが、平均単価は下落が続いている――。こうした環境の中、17年前に創業したティアの葬儀件数は伸びていて、年間6000件を突破。また、売上高も伸びていて、90億円を超える勢いだ。
葬儀費用が安いから、消費者から支持されているのか。それとも明朗会計だから、安心して葬儀を任せられるのか。業績が伸びている背景について、37年前に“おくりびと”になった同社の冨安徳久社長に話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠の土肥義則。
冨安徳久氏のプロフィール:
1960年、愛知県宝飯郡一宮(現:豊川市)で生まれる。1979年、大学の入学式直前、葬儀のアルバイトに感動して、18歳で葬儀業界に入る。生活者保護の葬儀を切り捨てる会社の方針に納得できず、独立を目指す。
1997年、株式会社ティアを設立。葬儀費用を開示して、業界で話題に。2006年、名証セントレックスに上場。中部圏初の葬祭上場企業になる。2008年、名証2部へ市場を変更。2013年、東京証券取引所2部に上場。2014年、東証1部、名証1部に上場。
2014年7月現在、直営店・FC店合わせて72店舗、会員数は約22万人。
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