自動車の「セグメント」とは何か? そのルーツを探る:池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)
国内外のメーカーを問わず、自動車を分類ときに使う「セグメント」。そもそもこれが持つ意味や基準とは一体何なのだろうか――。
Lセグメント
Lセグメントは一般的にはベンツのSクラスやBMWの7シリーズなどが代表だが、基本的に無差別級なので上限はない。だからロールス・ロイスであろうが、マイバッハであろうが、同じくLセグメントである。そのためアルファベットの順番を飛び越えてイタリア語で豪華を意味する「Lusso」の頭文字となっている。後席の居住性を優先するモデル。
プレミアム
最近ではほぼすべてのセグメントに、同クラスに比較して付加価値を高めたプレミアムセグメントがある。Bセグメントで言えばミニ、Cセグメントで言えばアウディA3、DセグメントではベンツのCクラスやBMWの3シリーズ。プレミアムの意味が一番分かりやすいのは、CセグメントのアウディA3だろう。基本的にはフォルクスワーゲン・ゴルフの兄弟車だが、価格帯が違い、顧客も違う。つまり割高な価格設定がされていても売れるだけの付加価値があるから商品として成立しているのだ。
セグメント分けではLセグメントを「Fセグメント」とする人もいるようだが、オリジナルをイタリア式とするこのアルファベット分類方式ではLセグメントが正しい。これでセグメントに関する基本的な説明はできたと思う。次回からは各セグメントの動向について書いていくつもりだ。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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