「どんな人がタイプ?」といった“恋バナ”ができなくなる(かも) 職場のLGBT問題:水曜インタビュー劇場(LGBT公演)(6/7 ページ)
「彼氏いるの? どんな男性がタイプ?」――。日常的に交わされているこうした会話が、数年後NGになるかもしれない。その理由は……。
まずは受け止める
村木: そうなんですよ。企業は消費者としての「LGBT市場」に注目しがちなのですが、むしろ従業員のLGBT対応をしないことによる「損失」のほうに目を向けてほしいと思います。なにもしないことで、損失が増えているかもしれません。例えば、LGBTの中のいい人材を採用できないでいるかもしれません、当事者が孤立してうつ病で会社を休んでいるかもしれません、モチベーションが下がって転職しているかもしれません。見えにくいですが、大きな「損失」です。
実際に、転職を経験しているLGBTは多いと思います。例えば、ある日本企業と外資系企業が合併しました。外資系には社内にLGBTのグループがあったのですが、日本企業にはありませんでした。日本企業はLGBTへの配慮がなにもなかったので、外資系で働いていたLGBTの社員がこぞって辞めてしまいました。この時点になって初めてその日本企業は気づいたんですよ。「このままではイカン」と。
土肥: 組織として対応すべきことは、たくさんありますよね。例えば、相談窓口とか、研修を行うとか、福利厚生を見直すとか。そういうことは会社のエライ人たちに考えていただくとして、自分の席の近くで“問題”が起きていることを知ったら、どのように対応すればいいのでしょうか。
村木: 職場で差別的言動をゼロにすることは難しいですが、誰かがマズいことを言ったら「そらアカンで」と周囲の人たちが即座に指摘してくれたら、当事者も働きやすくなるはず。まずは、そうした社内の雰囲気づくりを目指すべきでしょう。
例えば「自分は、女性になりたいと思っているんだ」と言われたら、どうしたらいいのか。当事者は自分の気持ちを知ってほしいケースが多いので、まず「そうなんだ」と受け止めることが大切。身近な人から「カミングアウトされたどうしよう?」と不安を感じている人がいると思いますが、まずは受け止める。そして、他人にはそのことを絶対にバラさない。これでひとまずは十分なんですよ。
関連記事
- なぜ“普通のオトコ”は、なかなか見つからないのか?
「彼女がほしいのに、なかなかできない」と悩んでいる男性も少なくないはず。会社の女性には声をかけにくいし、飲み会に参加してもなかなか結果がでない。そうした悩みに対し、恋愛マーケティングの専門家に話を聞いた。全3回でお送りする。 - 中国人女性とのデートで、「中華食べに行こうよ」がNGな理由
中国人PRウーマンが、「中国人と上手に付き合う」ためのノウハウを伝授する本連載。コミュニケーションの極意は相手を理解すること――というわけで第2回目は、中国の未来を担う若者たちの結婚事情などに迫る。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.