“ザ・縦割り”だったJALが、変貌できた理由:水曜インタビュー劇場:(JAL公演)(2/7 ページ)
JALの業績が好調だ。景気が回復してきたり、訪日外国人が増えたり、原油が安くなったり、さまざまな外部要因があるが、記者は内部に注目した。破たん前の企業文化は縦割りだったのに、破たん後はかなり変化してきている。その理由は……。
ズバリ、縦割りの企業文化
土肥: JALは2010年1月に経営破たんしたわけですが、野村さんは今も昔も総務や人事といったいわば“中”で仕事をされてきました。破たん前の社内ってどのような雰囲気だったのでしょうか?
野村: ズバリ、縦割りの企業文化でした。
土肥: 極端な言い方をすれば「自分の仕事をしてたらええやん」といった感じだったのでしょうか?
野村: そうですね。航空会社の特徴のひとつなのかもしれませんが、ひとつひとつの仕事はかなり専門性が高い。陸上のリレーでバトンを渡すように「はい、次」「はい、次」といった感じで業務が流れていって、最終的に飛行機が飛んでいく。なので、どうしてもタテタテになっていました。例えば、パイロットはパイロット、客室乗務員は客室乗務員、整備士は整備士、営業は営業といった感じで、領域ごとに組織が独立していました。
もちろん、自分たちがやらなければいけない仕事はしっかりやっていました。ミスなく確実にやることにエネルギーを注いでいましたが、そこで終わっていたんですよね。自分の仕事が終われば、すべて終わり。“隣は何をする人ぞ”といった状況でした。
土肥: 振り返ってみて、「あ〜これは縦割りだったなあ」と思うことってありますか?
野村: 自分がやらなければいけないことは、ちゃんとやっている。そんな自負があったので、会社の業績が悪くなったときに、「売り上げが落ち込んでいるのは○○が悪い」といった感じで、他人のせいにする傾向がありました。「たくさんのお客さまを集めてこない、営業が悪い」とか「サービスの質が落ちている、客室乗務員が悪い」とか「空港での対応がイマイチ、スタッフが悪い」とか。このように、とにかく人のせいにしていました。
土肥: 他の部署がどんな仕事をしているのか、知らない人が多かったということですが、「この企業文化でいいのかな?」「オレたちの組織って、縦割り過ぎるのでは?」といった声はなかったのでしょうか?
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