担当者が語る、アウディが新車プロモーションに宇宙を選んだわけ:宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)
高度3万メートル以上の成層圏まで気球を飛ばし、地球を背景にホログラムを投影するという挑戦的なプロジェクトを展開した自動車メーカーのアウディ。そのプロジェクト担当者たちが舞台裏を語った。
リアリティのこだわりを徹底(内山氏)
今回のプロモーションに関して言えば、アウディ本社のあるドイツで制作されたCMが起点になります。これは宇宙から新型Audi TTが地球に降り立つというCMなのですが、これを起点に日本独自のプロモーションストーリーを前後に拡張しました。その第1弾が成層圏へ気球を上げて映像を取得したAudi Space Hologram Projectionというわけです。
井上さんの話にもありましたが、今回のプロモーションではアウディが挑戦的なブランドであることを伝えるとともに、リアリティを大変重視しました。車はまさにリアルなプロダクトであり、リアリティあるプロモーションが求められます。他方で、宇宙というと以前は夢やフィクションだったわけですが、これが昨今は手の届く未来へと変わってきたのです。そうした背景の中、宇宙を舞台にリアリティあるプロモーションがどこまでできるかというのがコンテンツの鍵でした。
それが、実際に成層圏まで気球を上げて宇宙空間でホログラムプロジェクションを行うという、徹底的な映像のリアリティへのこだわりにつながりました。映像をじっくり見ていただいた方はお分かりかもしれませんが、宇宙空間でスラスターが展開する際に一瞬光ったり、慣性の働きを再現したりなど、物理的に宇宙空間で起こり得ることを細かく丁寧に再現しました。
また、高度3万メートルで地球を背景とした映像を撮影するときに、地球を一番きれいに見せるにはどうするか、日の出のタイミングで光の按配をどうするか、そのタイミングで気球が成層圏にいるための放球のパターンをどうするかなど、さまざまな仮説検証プロセスを経て映像を撮影しました。最新のデジタル映像の背景には、実は現場の地道なアナログ作業があるわけです。
今後、宇宙を活用したプロモーションには多くの可能性があると思います。宇宙というのは懐が非常に深く、いろいろなアイデアが乗せやすい場だと思います。他方で、宇宙というのは、あれができたら、これができたらと構想が描ける一方で、その実行が難しい部分もあります。技術の進展などにより、宇宙フィールドでできることがどんどん増えていき、フレッシュなアイデアを具現化し続けていければ良いなと思います。
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